有珠火山 1977-1978 年火山灰の性質
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
The ejected ashes were collected from the points 0 to 4.5 km from the sources during the whole period of the pumice and phreatic eruptions in the 1977-1978 activity of Usu Volcano, Hokkaido, Japan. The dry ash samples (<2 mm) of pumice eruptions (Aug. 7-14, 1977) were weakly alkaline (pH=7.3-8.2), and rich in water-soluble and exchangeable Ca^<2+> and Na^+, but poor in water-soluble Cl^- (69-580 ppm) and SO_4^<2-> (282-1231 ppm). By contrast, the ejected ashes of phreatic-phreatomagmatic eruptions (at the Craters B, H and I) were strongly acidic (pH=3.4-5.9), and rich in water-soluble Cl^- (495-17260 ppm) and SO_4^<2-> (160-4830 ppm), as shown in Table 1 and Fig.4. Whereas the ejected ashes from the Craters K, L and M were neutral or weakly alkaline (pH=6.8-8.5), and showed a slight decrease in the concentration of the water-soluble Cl^- (421-1064 ppm) and SO_4^<2-> (256-1031 ppm). When the Cl/S molar ratios of the water-soluble components of the ash (1.9-19.2) ejected from the Craters A, B, H and I were also taken into consideration, it was suggested that the temperatures of the coexisting gas phase with these ashes were very high. As shown in Table 1, the ash samples contained 2.5-6.2% under 2μ clay. The clay fractions (either under 2μ or under 0.2μ) separated from the samples were characterized by the presence of abundant montmorillonite and subordinate chlorite and metahalloysite (Figs. 6, 7, 11 and 12). These clay minerals are considered to have derived from the atrio-deposits on the summit of Usu Volcano. In this connection, late in August, 1977, it was confirmed that two clay flows consisting mainly of montmorillonite were squeezed out on the surface of the atrio due to crustal movement (Fig. 3). The ejected ash had a high adsorptivity and viscosity, and also showed high dispersion in air and water. Such properties are probably due to the presence of the montmorillonitic clay in the ash. The presence of such clay minerals in the ash gave rise to severe disaster to the urban, forest and agricultural lands near the volcano during the eruptions on rainy days. The silica contents of the 1977-1978 ashes, pumices and essential blocks are plotted in a variation diagram together with those of the 1944 tephra (Showa-Shinzan) (Fig. 13). The silica contents of the 1977-1978 ashes showed a wide range from 53.91 (Crater A) to 68.00 wt% (Crater K). The difference in the color of dry ash may depend on the chemical and mineralogical compositions. In this connection an interesting relationship was found between the variation in silica contents of the ash and the sequence of the Second Stage eruption. As shown in Table 1 and Fig. 13, the ashes ejected in the Substage I (typical phreatic eruptions) were greyish brown or grey in color and poor in silica (SiO_2=53.91-57.55 wt%), whereas in the Substages II and III (phreatomagmatic-magmatic eruptions) the grey or greyish white and silica-rich ashes (SiO_2=61.63-68.00 wt%) became abundant. It was noticed that the ashes produced by the magmatic eruptions were mostly consisted of the essential dacite, such as the greyish white ash (SiO_2=68.00 wt%) which was ejected from the Crater K on August 24, 1978.
- 特定非営利活動法人日本火山学会の論文
- 1979-12-01
著者
-
近堂 祐弘
帯広畜産大学酪農学科
-
新井田 清信
北海道大学大学院理学研究科
-
近堂 祐弘
帯広畜産大学環境土壌学研究室
-
勝井 義雄
北海道大学理学部地質学鉱物学教室
-
新井田 清信
北海道大学
-
藤谷 朋夫
帯広畜産大学環境土壌学教室
-
藤谷 朋夫
帯広畜大
-
勝井 義雄
北海道大学理学部
-
勝井 義雄
北海道大学
-
近堂 祐弘
帯広畜産大学
関連論文
- ナウマン象の化石から採取した「油状物」のアミノ酸および無機質の組成について
- ナウマン象の化石から採取された「油状物」の化学組成について
- 十勝岳1988〜89年本質噴出物とこれに伴うガラス質岩の岩石学 : 特集: 十勝岳1988〜1989年噴火
- 45A. 十勝岳1988〜1989年噴火における本質噴出物と噴火現象(日本火山学会1989年秋季大会)
- A45 十勝岳 1988-1989 噴火における本質噴出物と噴火現象
- 有珠山2000年噴火で発生した火砕サージ(2000年有珠山噴火 (2))
- P-19 大町海山基底部に露出する肥沃なレルゾライト質蛇紋岩の起源(7. 伊豆-小笠原-マリアナ弧と大陸地殻形成)
- 北海道有珠火山地域における第四紀火山砕屑物の風化過程
- 伊豆・小笠原弧中央部、火山フロント近傍の第3系--大町海山の地質 (2章 大陸形成の現行過程)
- 有珠2000年噴火の噴出物 : 構成物とその時間変化(2000年有珠山噴火 (2))
- 有珠火山2000年噴火における岩脈貫入過程と潜在ドームの形成メカニズム(2000年有珠山噴火)
- 有珠山2000年噴火の推移(2000年有珠山噴火)
- 北海道駒ヶ岳1996年3月の噴火
- 223. 南極海域,ウイルクスランド沖のペリドタイト海山
- 十勝上士幌産出の白色粘土に関する研究 : 第1報 亀甲および三股粘土の粘土鉱物について
- 北海道における火山噴出物の類別, 分布に関する調査(補遺, その2)
- 北海道における火山噴出物の類別, 分布に関する調査(補遺, その1)
- アトサヌプリ統火山性土の酸性化の要因について (第2報)
- アトサヌプリ統火山性土の酸性化の要因について (第1報)
- 十勝岳1988〜1989年の爆発的噴火,その推移と様式 : 特集: 十勝岳1988〜1989年噴火
- 29. 予報 : 1988-89年十勝岳火山噴出物の岩石学的特徴(日本火山学会1989年春季大会)
- 28. 1988-89年十勝岳噴火の推移(日本火山学会1989年春季大会)
- P4 1988-89 年十勝岳噴火に伴う火砕流
- 29 予報 : 1988-89 年十勝岳火山噴出物の岩石学的特徴
- 28 1988-89 年十勝岳噴火の推移
- B35 東大雪山系丸山火山の地球物理・化学的調査
- 神居古潭構造帯,知駒岳周辺の蛇紋岩メランジ帯
- 支笏火山の活動にかんする2・3の考察
- 支笏降下軽石堆積物について : 続報 : 1959春季大会講演要旨
- O-129 下部中新統, 滝の上層中の"蛇紋岩"
- 第9部門 土壌生成, 分類および調査
- 大学博物館(ユニバーシティミュージアム)の将来
- O-215 マリアナトラフかんらん岩から推定される最上部マントルの性質(19.深成岩・火山岩とマグマプロセス,口頭発表,一般講演)
- 北海道亀田郡七飯町産の鳴川安山岩にみられる「半球面レンズ状節理」
- 安山岩溶岩中の半球面レンズ状節理の観察(フォト)
- 奥新冠かんらん岩体 : オフィオライト質最上部マントルダナイト
- 幌満かんらん岩に記録されたマグマチャネリング様式 : メルト成分の涸渇や付加で生じた置換性かんらん岩
- 幌満かんらん岩体の苦鉄質岩層の起源
- 364. 東シホテ・アリン地域ソブガバン台地の超苦鉄質ゼノリス : 上部マントルの岩石学的特徴
- 347. 幌満カンラン岩体の主要苦鉄質岩質(タイプGBI)の成因 : MORBマグマチャネルと分別結晶作用
- 4. 上部マントルにおけるメルトの移動と反応
- 34 有珠山テフラの堆積状態と侵食による泥流発生(北海道支部講演会講演要旨(その2))
- 9-14 有珠山テフラの堆積状態と侵食による泥流発生(9.土壌生成・分類および調査)
- 有珠山 1977 年軽石・火山灰の堆積様式
- 有珠山 1977 年噴火の推移と降下火砕堆積物
- 有珠火山 1977-1978 年火山灰の性質
- 樽前山 1978 年 5 月の噴火
- S-15 かんらん岩から読み取る海洋マントル : 掘削がもたらしたもの((2)海洋地殻・マントルの"その場研究"の進展と今後の展望 : 21世紀モホール計画の実現を目指して,口頭発表,シンポジウム)
- 17A. 北海道駒ケ岳 1640 年の噴火と噴出物(日本火山学会 1985 年度春季大会講演要旨)
- 264 北海道、洞爺地域のカルデラ形成期および後カルデラ火山の岩石化学 : カルデラ形成についての考察
- 1. 洞爺カルデラの形成とその噴出物(日本火山学会1986年度秋季大会)
- 十勝岳のハザードマップ (日本の火山ハザードマップ(上))
- 北海道駒ヶ岳のハザードマップ (日本の火山ハザードマップ(上))
- テフラのなかの小球体
- 56 土壌中のアルミナ シリカ ミネラロイドの研究(8) : ミネラロイドの光学性(北海道支部講演会要旨)
- 30. 1988-89年十勝岳噴火に伴う降下火砕物(日本火山学会1989年春季大会)
- 30 1988-89 年十勝岳噴火に伴う降下火砕物
- 36 土壌中のアルミナ・シリカ・ミネラロイド(7) : ミネラロイドの生成(北海道支部講演会要旨)
- 29 土壌中のアルミナシリカミネラロイドの研究(6) : ミネラロイドの粘土鉱物組成(北海道支部講演会要旨)
- 25 土壌中のアルミナシリカミネラロイドの研究(4) : To-c中のミネラロイドの化学組成(北海道支部講演会要旨)
- 9-27 土壌中のアルミナシリカミネラロイドの研究(5) : 産状と化学組成(9.土壌生成・分類および調査)
- アルファルファの凍上害
- 上部白亜系湧別層群中のマンガンノジュール
- 31 土壌中のアルミナシリカミネラロイドの研究(3) : 十勝岳火山灰C層(To-c)および雨月沢火砕流(北海道支部講演会要旨)
- 40 土壌中のアルミナシリカミネラロイドの研究 : 主として軽石およびガラス片とアルミナシリカミネラロイドの形態(北海道支部講演会要旨)
- 9-23 アルミナシリカミネラロイドの研究(1) : 美瑛周辺の火砕流を母材とする土壌中のアルミナシリカミネラロイドの産状と形態(9.土壌生成・分類および調査)
- 33 火山灰中の結晶とBubble-wall(北海道支部講演会講演要旨(その2))
- 32 火山放出物中のMicro-ballについて(北海道支部講演会講演要旨(その2))
- 北海道中央部, 空知層群下部層最上部のピクライト
- 16. 千島弧南西端における第四紀火山岩類の^Sr/^Sr, K/BaおよびK/Hf比の水平的変化とその起源(日本火山学会1986年度秋季大会)
- 16 千島弧南西端における第四紀火山岩類の ^Sr/^Sr, K/Ba および K/Hf 比の水平的変化とその起源
- Sr同位体比および微量元素にもとづく大雪-十勝火山列のカルクアルカリ安山岩要因のマグマ混合モデル〔英文〕
- 54A. 大雪-十勝火山列の火山岩の Sr 同位体比および微量元素(日本火山学会 1984 年度春季大会講演要旨)
- A43 Nevado del Ruiz 火山の 1985 年噴火
- 東北海道に分布する火山灰土壌の微量要素
- 109. 有珠山 1977∿78 年噴火における断裂の形成について(日本火山学会 1984 年度春季大会講演要旨)
- 9-19 定量的母材特性評価指標の再検討(9.土壌生成,分類および調査)
- 9-12 東大雪山系丸山火山灰の土壌化過程(9. 土壌生成・分類および調査)
- 渡島大島火山の火山岩類と超苦鉄質・苦鉄質包有物
- 北海道十勝地域における火山灰土壌の土壌水分並びに化学的性質に関する比較研究
- 恵庭a古砂丘上の古土壌の^C年代 : 日本の第四紀層の^C年代(106)
- 1977年8月噴出の有珠火山灰の粘土鉱物
- 神居古潭帯額平川流域の緑色岩類
- 43A. Nevado del Ruiz火山の1985年噴火(日本火山学会1986年度春季大会)
- 57. 北海道に於ける火山噴出物の鉱物学的組成に関する研究(第2報)(第8回帯広畜産大学学術集談会記事)
- 56. 大雪山沼の原湿原に関する調査研究(第1報)(第8回帯広畜産大学学術集談会記事)
- 幌満超苦鉄質岩体にみられる初生過程と再平衡過程 : 深成岩および変成岩
- 幌満超苦鉄質岩帯の層状構造の形成機構 : 深成岩および変成岩
- 1 洞爺カルデラの形成とその噴出物
- 55A. 神威山は火山か? 1984 年奥尻島群発地震調査報告(日本火山学会 1984 年度春季大会講演要旨)
- 9-29 北海道十勝三股の永久凍土の気候環境(9.土壌生成・分類および調査)
- 108. 北海道駒ケ岳の 1929 年火砕堆積物(日本火山学会 1984 年度春季大会講演要旨)
- テフラのなかの小球体
- 23. 旭岳a統火山灰土に関する調査研究(第7回帯広畜産大学学術集談会記事)
- ペドロジーとカリキュラム
- 南米コロンビアネバド・デル・ルイス火山の1985年噴火と泥流災害 (都市の変容と自然災害-7-)
- 十勝平野の内陸に分布する古砂丘について-2-
- 十勝平野の内陸に分布する古砂丘について-1-
- 樽前c_1火山灰の分布・層序と強磁性鉱物の化学組成 : とくに十勝平野の十勝c_1火山灰との関連性についての検討
- 橘・萩原論文に対する論評 (日本考古学と第四紀研究) -- (九州における火山灰層序と旧石器時代石器群)