窒素ガスキャリヤー溶融法によるアルミニウム中の水素の定量に及ぼす水分の影響
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概要
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アルミニウム中の水素ガスの分析法として最も一般的になった窒素ガスキャリヤー溶融法の分析値に正の誤差を与え, かつ再現性を低下させる原因にもなる表面ガスについて, その生成要因である水素ガス抽出雰囲気中の水分量と試料表面水の影響を検討した. 表面ガス量を0.01 ppm(分析装置の検出下限)以下にするためには, 水素ガス抽出雰囲気中の水分量を10 mg/m^3以下にすることが必要条件であることが分かった. 試料表面には473K以下の加熱によって放出される吸着水と, 573K以上の加熱によって水と同時に水素も放出する結合水が存在し, いずれも表面ガスを発生させ, その量は単位量当たりの発生量も含めて結合水のほうが多かった. 表面ガスの影響をなくすことは基本的にはできないが, 水素ガス抽出雰囲気の水分量を上記のようにし, 旋盤による試料調製を, アルコールを塗布しながら切削油や手などによる汚染を避け, かつ傷などを付けないで, 乾燥雰囲気(水分量3000 mg/m^3), 又は通常の部屋環境で慎重に行うことにより, 試料表面水は1 mg/m^2以下にでき, その結果表面ガスは0.01 ppm以下にできた. 後者の調製法で工業用高純度アルミニウム(J1S 1N99)中の水素の定量の繰り返し再現性(n=30)を確認したところ, 平均値が0.092 ppmで, RSDが6.0%であった.
- 社団法人日本分析化学会の論文
- 1998-05-05
著者
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