ヨウ化物イオンとクリスタルバイオレットを用いる銅の吸光光度定量

概要

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硫酸酸性溶液中でCu^<2+>に対して過剰のI^-が存在すると、I^-は酸化されて三ヨウ化物イオン(I_3^-)となり、Cu^<2+>はジョード鋼(I)酸イオン(CuI_2^-)となる。生成したI_3^-、CuI_2はクリスタルバイオレット(CV^+)の存在下でイオン会合体となり、トルエンに抽出される。このトルエン相の607nmにおける吸光度を測定すれば、銅を定量することができる。検量線より算出した見掛けのモル吸光係数は1.7×10^5lmol^<-1>cm^<-1>であった。Fe(III)、Cr(III)、Co(II)などの酸化性及び還元性物質の共存は定量を妨害するが、その他多くのイオンは多量共存しても妨害とはならない。更に抽出化学種について検討した結果、主な抽出種はI_3^-とCV^+の1:1のイオン会合体であり、大部分の銅イオンは水相に残っていることを確認した。これらのことから、本抽出系では銅(II)イオンは触媒的作用をしているものと結論された。
1989-03-05