エリトロシンBと第四級アンモニウムイオンの変色反応を利用するイオン性及び非イオン性界面活性剤の吸光光度定量
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
エリトロシンB (EB) を用いて, 水溶液反応を利用する吸光光度法により, 界面活性剤を定量する方法について検討した. 長鎖アルキル基を持つ第四級アンモニウム塩の腸イオン界面活性剤 {CS^+: C_nH_<2n+1>N^+(CH_3)_3, n=16, 18; C_nH_<2+1>(CH_3)_2N^+CH_2C_6H_5, n=14, 16} はpH5.7付近でEBと反応し, 549 nmでの吸光度を増大させる. また, CS^+ は陰イオン界面活性剤 {AS^-: C_nH_<2+1>SO_3, n=14 (TDS), 16 (HDS); C_<12>H_<25>C_6H_4SO_3^-(DBS); C_<12>H_<25>OSO_3^-(LS)} と安定なイオン会合体を形成する. したがって一定量のCS^+の存在下ではAS^-量の増加に伴い, 549 nmでの吸光度は低下する. また, オキシエチレン基を含む長鎖アルキル基を持つ非イオン界面活性剤 {NS: ポリオキシエチレンアルキルエーテル (C_<12>H_<25>O(CH_2CH_2O)_nH: nは酸化エチレン付加モル数n=7, 23; C_<16>H_<33>O(CH_2CH_2O)_<20>H; C_<18>H_<35>O(CH_2CH_2O)_nH, n=2, 7, 10, 20), ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(C_9H_<19>(C_6H_4)O(CH_2CH_2O)_nH, n=5, 10, 15, 20; C_8H_<17>(C_6H_4)O(CH_2CH_2O), ボリオキシエチレンソルビタンモノ脂肪酸エステル (C_<47>H_<91>O_<26>R, n=20: R=C_<11>H_<23>, C_<15>H_<31>, C_<17>H_<35>, CH_3(CH_2)_7CH=CH(CH_2)_7)} へのEB分子の取り込みにより, 549 nmでの吸光度を増大させる. CS^+の定量濃度範囲は 2×10^<-7>〜5×10^<-6>M, AS^- の定量濃度範囲はTDS: (3〜5)×10^<-6>M, HDS: (2〜5)×10^<-6>M, DBS: (2〜4)×10^<-6>M, LS: (1〜5)×10^6M であった. NSの定量濃度範囲は種類により異なるが, 3×10^<-6>〜4.6×1-^<-4>Mであった. 見掛けのモル吸光係数 (ε/dm^3 mol^<-1>cm^<-1>) はGS^+: 2.44×10^4〜3.50×10^4; AS^-: 4.40×10^3〜2.64×10^4; NS: 5.16×10^2〜9.86×10^3であった. 本法は10^<-6>Mオーダーのイオン性界面活性剤及び10^<-5>Mオーダーの非イオン界面活性剤の簡便・迅速な定量法である. 市販の洗剤に含まれるAS^-及び洗髪用リンス中のCS^+を本法とJIS法 (Epton法) により定量した結果, 両者の値はほぼ一致した. また, 市販の衣料洗濯用洗剤に含まれるNSを同定した.
- 1999-11-05
著者
関連論文
- エリトロシンBと第四級アンモニウムイオンの変色反応を利用するイオン性及び非イオン性界面活性剤の吸光光度定量
- フルオレセイン系染料と第四級アンモニウムイオンの変色反応を利用するイオン性界面活性剤の吸光光度定量
- 酸性染料ブロモクレゾールパーブルと第四級アンモニウムイオンの変色反応を利用する陰イオン界面活性剤の吸光光度法
- ブロモクロロフェノールブルーを用いる微量界面活性剤のセルロース粉末予備濃縮/吸光光度定量
- クロムアズロールSを指示薬とする滴定法によるイオン性界面活性剤の定量
- ブロモクロロフェノールブルーを指示薬とするコロイド滴定法によるイオン性界面活性剤の定量
- 海水中の陰イオン界面活性剤の抽出/吸光光度定量
- ブロモクレゾールパープルと第四級アンモニウムイオンの変色反応を利用するエタノールの吸光光度定量
- 1,10-フェナントロリンとテトラブロモフェノールフタレインエチルエステルを用いる鉄(II)のキトサン共沈濃縮-吸光光度定量(若手研究者の初論文)
- 金属ハロゲノ錯陰イオンと第四級アンモニウムイオンとのイオン会合体の抽出挙動解明と分離・分析的応用
- スルホフタレイン系酸性染料と第四級アンモニウム塩との相互作用に関する研究
- ヨウ化物イオンとクリスタルバイオレットを用いる銅の吸光光度定量
- エチルバイオレットと銅(I)クロロ錯イオンのイオン会合抽出による鉄鋼及びアルミニウム合金中の鋼の吸光光度定量
- Characterization of Ceramic Powders by Infrared and Atomic Spectrometry/A Study on the Determination of the Cyanide Compound/Studies on the Interaction between Sulphonephthalein Dyes and Quaternary Ammonium Ions