髪のモデルについての考察
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概要
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コンピューターによる人間のイメージの生成が近年盛んに行なわれているが、中でも髪のイメージのできばえは、人間、とくに頭部のイメージの現実感を大きく左右する要素といえる。しかし、現実感ある髪の描画は、10万本もの毛からなる髪の複雑な構造や、反射に違方性があるなどの理由から、容易ではない。現在とられている方法としては、髪の毛一本一本の形状を適当にパラメーターで指定し、非常に多くの髪の毛を一本一本描くことで全体の形状と質感を表現するもの[1]と、異方性反射のモデルを持ちいたテクスチャマッピングを応用するもの[2]があるが、前者ではうまくパラメーターを与えるのが難しく、後者では全体の形状を与えるのが難しい、などの問題点がある。また、人間のアニメーションを現実感あふれるものにするためには、各部の動きを現実感あるものにする必要があるが、髪の毛の場合、頭部やからだの動きによって形状が大きく変わる場合があり、これにはどちらの方法でも対応できない。そこで、ここでは、髪の毛の物理的性質に基づいたモデル化を提案する。髪は一本ずつ見れば弾性体と考えられ、これをモデル化することで、髪の毛の形を多くのパラメーターで記述する必要がなくなり、また頭部の動きにつれての形の変化なども容易に扱えるようになる。また、髪の構造を考慮した、従来の方法より容易に髪の形状や質感を生成することのできる髪全体のモデルについての考察を行なう。これは、実際の髪は、毛のある程度まとまったもの(束)を単位として振舞うという仮定に基づいている。
- 社団法人情報処理学会の論文
- 1991-02-25
著者
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