対話参加者に関するゼロ代名詞の同定
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概要
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日英対話文翻訳のために対話文(発話)を解析する際の問題点の一つは、対話文において直接言及されることのない省略情報の補完である。特に、日本語対話文においては、話し手や聞き手に対応する対話参加者を指示する表現は、省略されることが普通である。一方、対話において、話し手は、言語表現を使用することによって、ある言語行為を遂行するものと考えられる。発話の使用によって遂行される言語行為として、要求や約束といった発語内行為だけでなく、待遇表現や受給表現の使用による言語行為も考えることができる。これらの言語表現の使用による言語行為の遂行には、適切な状況の下で言語表現を使用しなければならないという制約が課せられる。こういった表現の使用に関する制約の中には、その表現で参照される対話参加者に関する制約が含まれ、その制約を用いて、言語表現の中で用いられているゼロ代名詞を同定することができる。そこで、本稿では、主に、待遇表現、受給表現、発語内行為タイプの使用に関する制約に基づいて、対話参加者に関するゼロ代名詞を同定する手法を提案する。
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1989-10-16
著者
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小暮 潔
Ntt基礎研究所:(現)nttコミュニケーション科学研究所
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小暮 潔
Atr自動翻訳電話研究所
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堂坂 浩二
(株)atr自動翻訳電話研究所 Ntt基礎研究所
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堂坂 浩二
ATR自動翻訳電話研究所
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