対話文特有の語句を含む文の解析

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従来の対話理解の研究は, 心的状態やプラン, 意図などを用いて対話を理解しようとするものが中心であった. これらの研究は対話文の構文意味解析が適切に行なわれ, 論理形式や発話行為が求まることを前提にすすめられている. しかし, 実際の対話を記録したものを観察すると, 各々の発話は, 書き言葉の文と大きく異なるため, 書き言葉用の文法や構文意味解析手法をそのまま用いても, 対話文の解析は行なえないことがわかる. 従来の音声言語システムの多くは, 書き言葉用の文法を用いているため, 自然な対話文を扱うことが出来ない従って, 対話文の購文意味解析手法を構築することが, 対話理解にとって必要である. 対話文の解析手法を構築するにあたっては, 対話文用の文法を書き言葉用の文法と独立に開発する方法があるが, 新しい情報が伝達される場合, すなわち話題になっている事物の意味的特性が聞き手にとって既知ではない場合に問題が生ずる. そのような場合には, 構文的な制約が重要な働きをする. 従って, 我々は, 構文的制約を重視する書き言葉用文法を, 対話文を扱えるように拡張する方法を用いる. 書き言葉用の文法, 解析手法を対話文用に拡張するに当たっては, 対話文特有の様々な現象を考慮に入れる必要がある. 本稿ではそのうちで, 対話文特有の語句の扱い方について述べる. 本稿では, 対話文特有の語句を, 従来の書き言葉の解析手法を用いて解析するために, 対話文解析用の付加辞書を構築する方法を提案する. この対話文解析用に構築された付加辞書を, 書き言葉用の辞書, および構文規則と合わせて用いることにより, 対話文特有の表現を持つ文が解析できるようになる.
一般社団法人情報処理学会の論文
1994-03-07

対話文特有の語句を含む文の解析

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