語用論的条件の解釈に基づく日本語ゼロ代名詞の指示対象同定
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概要
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本稿では,日本語対話において待遇表現,受給表現,特定の文末形式を発話環境の下で適切に使用するための語用論的条件を解釈することにより,対話登場人物を指示するゼロ代名詞の指示対象を同定するモデルを提案する.このモデルでは,発話環境として,対話登場人物間の待遇関係,話者の視点,情報のなわばりに関わる言語外情報を利用する.発話環境は,環境のあり方を規定する制約の集合として表される.語用論的条件の解釈は,環境に含まれる制約を用いて語用論的条件を充足させることによって行う.この解釈プロセスによって,文に含まれるゼロ代名詞の指示対象が同定され,また,新たな制約が環境の中に導入されることもある.新たに導入された制約は,後続する文の解釈に役立てられる.このモデルは,対話ドメインに特有な制約を与えることにより,対話ドメインにおける行為やイベントの因果関係に関する膨大な量の知識に頼ることなく,対話登場人物を指示するゼロ代名詞の指示対象を同定できるという利点をもつ.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 1994-05-15
著者
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