低温乾燥によるブナ堅果の長期貯蔵方法
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概要
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ブナ(Fagus crenata Bl.)の堅果を長期間貯蔵できる方法を探るために, 4種類の処理(乾燥処理, アルギン酸ナトリウムによるコーティング処理, 低温湿層+乾燥処理および無処理)を行い, 温度2℃, 相対湿度40%で貯蔵した堅果の発芽率の推移を観察した。無処理は1年, コーティング処理では2年で発芽しなくなった。一方, 堅果の含水率を約8%にする乾燥処理を行うと2年間発芽能力を失わなかった。これは, これまで報告されているブナ堅果の貯蔵期間としては最も長い。これまで, ブナ堅果は含水率が高いため, 乾燥すると死滅してしまい貯蔵が困難なrecalcitrant種子とされてきた。しかし, 今回の試験結果では, 低温下で低い含水率を維持することによって貯蔵可能なorthodox種子として扱えることが示唆された。2年の貯蔵期間は実用にも耐えうる期間であると考えられる。最後に, 本試験の結果をふまえて, 今後さらに長期間貯蔵できる保存技術について考察した。
- 日本森林学会の論文
- 1997-08-16
著者
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