ブナの種子生産特性(I) : 北海道南西部の天然林における1990年から1993年の堅果の落下量と品質
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概要
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ブナの結実の豊凶に関わる要因を明らかにするため、ブナ天然林5カ所において、開花終了時期からの堅果の落下実態をシードトラップを用いて調べた。どの調査地でも、雌花数に相当するとみなせる落下堅果総数には大きな年変動がみられ、豊凶の第一義的要因は雌花数であることが示された。堅果の発達過程では、主にガの幼虫によるとみられる堅果の食害が結実に関わる要因として重要であった。虫害堅果の多くは8月下句までに未熟落下した。落下堅果総数に対する虫害堅果の比率は年によって異なり、落下堅果が少ない年を経過した後に落下堅果の多い年を迎えた場合には、虫害堅果の比率が低く充実堅果が多く生産される傾向がみられた。このことから、雌花数の年変動が大きいという種子生産特性は、堅果に対する昆虫の補食圧を減じて、充実堅果の生産に寄与している可能性が示された。落下堅果総数は、1990年には調査地による差が大きかったが、1991〜1993年には調査地間でほぼ同調して変動した。
- 日本森林学会の論文
- 1995-03-01
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