比良山地における晩氷期以降の森林変遷
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概要
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琵琶湖の西に位置する比良山地の八雲ケ原湿原から採取した堆積物の花粉分析を行った。さらに、比良山地と丹波山地東部に位置する3湿原の花粉分析結果と比較し、晩氷期以降の比良山地における森林変遷を明らかにした。比良山地の上部は、15,000年前以降の晩氷期にはモミ属、ツガ属、トウヒ属、マツ属(単維管束亜属)の亜寒帯性針葉樹とシラカンバ属によって構成される森林であった。後氷期には比良山地の西側と東側では、森林植生に次のような違いが認められた。西側では、約1,500年前までブナ、コナラ亜属などの冷温帯落葉広葉樹林が広がった。一方、東側ではブナ林が約6,000年前まで優勢であったが、それ以降はスギを中心とする森林に変遷した。このことから、約6,000年前以降には、少なくとも比良山地の東側は日本海型気候に支配されていたと考えられた。1,500〜1,000年前以降には人類による原始林の破壊によって、低山地においてアカマツ林が分布域を拡大した。
- 日本森林学会の論文
- 1989-06-01
著者
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