京都市東山における過去70年間のシイ林の拡大過程
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概要
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京都市周辺の都市近郊二次林において,近年,分布を拡大しているシイ林について,その拡大過程を解明し,今後のシイ林の拡大について考察した。2004年に撮影したデジタルオルソフォトおよび1987年,1975年,1961年撮影の空中写真を判読することによって,各年のシイの樹冠分布図を作成し,さらに1936年のシイ林の分布図も併せて比較を行うことでシイの分布拡大過程を解明した。また,現地踏査によって林冠下のシイの分布図作成を行うことによって,現在のシイの分布状況を把握した。その結果,以下のことが明らかになった。1)シイは1961年以降に分布を拡大した。2)シイの全樹冠面積は1961年には6.9haであったが2004年には32.1haに達した。3)2004年の時点で調査地の東側斜面において林冠に達しているシイはほとんどなかった。4)しかし,現地踏査によって,東側斜面の林冠下にシイの分布が確認された。このような東山における1960年代以降のシイ林拡大は,1960年代から始まったガス,電気の普及に伴う,柴刈りなどによる森林への人為的な影響の減少や1970年代以降のマツ材線虫病によるマツ枯れが遷移を促進させたことなどが考えられた。また,2004年の時点で林冠にシイが確認されなかった東側斜面の多くの地域で林冠下にシイが確認されたことから,今後,シイ林は東側斜面でさらに拡大する可能性が高いと考えられた。
- 森林立地学会の論文
- 2007-06-25
著者
-
高原 光
京都府立大学大学院生命環境科学研究科
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高原 光
京都府立大学生命環境科学研究科
-
奥田 賢
京都府立大学大学院農学研究科
-
美濃羽 靖
京都府立大学大学院農学研究科
-
小椋 純一
京都精華大学人文学部
-
美濃羽 靖
京都府立大学大学院生命環境科学研究科
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高原 光
京都府立大学
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