奈良県曽爾高原お亀池湿原の花粉学的研究(林学部門)
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概要
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筆者らは, 奈良県北東部の曽爾高原に位置するお亀池湿原の堆積物の花粉分析を行ない, 分析の結果にしたがって, 晩氷期から現在にかけての森林の変遷を考察した。その結果の概要は次のとおりである。1.堆積物の放射性炭素による年代は, 泥炭層の深度220∿230cmで, 3860±160y.B.P.(コード番号KSU-314)であった。また, 深度281∿284cmの火山灰層はアカホヤ火山灰からなっており, その年代は6000∿6500y.B.P.であった。2.晩氷期から現在にかけて, 次のように6回にわたって森林型に変化のあったことが認められた。1) Abies・Tsuga・Pinus-Betula時代2) Fagus・Lepidobalanus・Carpinus時代3)Abies-Lepidobalanus時代4) Abies-Castanea時代5) Cyclobalanopsis-Abies時代6)Pinus時代1)は亜寒帯性針葉樹林の時代, 2)は冷温帯落葉広葉樹林の時代, 3)・4)は中間温帯林の時代, 5)は暖温帯常緑広葉樹林の上部に位置する時代, 6)は人類の影響を強く受けたマツ林の時代である。
- 京都府立大学の論文
- 1982-11-20
著者
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