継代保存中におけるイネいもち病菌Pyricularia oryzae Cav. の病原性, 病原力の変化と簡易保存法の検討
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概要
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いもち病菌はPSA培地上で継代保存すると比較的短期間に病原力を低下させるか, 病原性に変化を起こす(79%)。保存中病原力に変化が無かったとみられる菌株でも, その単胞子再分離系統には可成りの変化がみられる場合が多い。これらの性質の変化は培地, 培地量, 植継ぎ間隔などの培養条件の影響を受け易い。合成培地は天然培地に比べ病原力, 病原性の変化を起こしにくい。しかし, 保存後3年目には合成培地保存のものにも変化がみられる。又培地量を多くし, 植継ぎ間隔を出来るだけ長くすることも有効とみられる。一方, 節保存法は有用な一方法と考えられるが, 低温保存中における雑菌の混入, 死滅が多い。節保存4年目における死亡率は約60%であり, 10年目における死亡率は約70%であった。より簡易で確実な方法として乾燥菌体保存法を試みた。平板培地上でいもち病菌を培養し, 菌叢をコルクボーラーで打抜き, 滅菌〓紙円板上に乗せシャーレ中で自然乾燥させる。滅菌済蓋付小型試料瓶(Screw vial)に160C, 1時間滅菌乾燥したシリカゲルを入れ, その上に乾燥菌体の付着した〓紙円板数個を入れ密栓する。これらの操作は無菌的に行う。冷蔵庫(5C)又は冷凍庫(-10C)に保存すると少くとも5年間は完全に保存出来ることを確認した。
- 日本植物病理学会の論文
- 1981-09-25
著者
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