わが国のパッションフルーツにおけるpassionfruit woodiness virusの初発生
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概要
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鹿児島県奄美大島においてパッションフルーツ (クダモノトケイソウ) の交配種'大玉' (Passiflora edulis×P. edulis f. flavicarpa) に葉のモザイク症状および果実の奇形が発生し, その罹病株から長さ787nmのひも状ウイルスが分離された。本ウイルスはモモアカアブラムシによって非永続的に伝搬され, 汁液接種により, Chenopodium amaranticolor, C. quinoa, ナス'久留米大長'およびインゲンマメに局部感染し, ハナトケイソウ (Passiflora caerulea), P. foetidaおよびゴマに全身感染した。しかし, ムラサキトケイソウ (P. edulis), キイロトケイソウ (P. edulis f. flavicarpa) および大玉には, アブラムシならびに接ぎ木接種によってのみ感染した。大玉の罹病葉粗汁液中での本ウイルスの安定性を, インゲンマメ'すじなし江戸川'への接種によって調べたところ, 耐希釈性10^<-4>〜10^<-5>, 耐熱性55〜60℃ (10分) および耐保存性2〜3日 (25℃) であった。大玉の感染葉の細胞質にはpotyvirus特有の管状封入体が観察された。SDS-PAGEによる本ウイルスの外被タンパクの分子量は約35,000であった。他のpotyvirusとの血清学的類縁関係を調べた結果, passionfruit woodiness virus (PWV) のブラジル株と近縁であり, ダイズモザイクウイルスやカボチャモザイクウイルスとの遠い関係が認められた。よって本ウイルスはPWVの1系統と考えられた。PWVの本邦のパッションフルーツにおける発生の確認はこれが初めてであり, 今後は本ウイルスをPWV-AO (Amami Ohshima) と呼称し, ウイルス病の和名をパッションフルーツウッディネス病としたい。
- 日本植物病理学会の論文
- 1996-10-25
著者
-
大森 拓
宇都宮大遺伝子
-
荒井 啓
鹿児島大学農学部
-
荒井 啓:
鹿児島大農
-
岩井 久
鹿児島大学農学部
-
牟田 辰朗
鹿児島県農業開発総合センター大島支場
-
大森 拓
鹿児島大学農学部
-
黒川 陽治
鹿児島大学農学部
-
牟田 辰朗
鹿児島県農業試験場大島支場:(現)鹿児島県農業試験場
-
黒川 陽治
鹿児島大学農学部:(現)長崎県佐世保農業改良普及センター
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