ヤワラガニ科Rhynchoplax属の2新種
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概要
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ヤワラガニ科HymenosomatidaeのRhynchoplax属は西太平洋産の3種のみで構成されている。Sakai(1938)により,従来Kemp(1917)あるいはTesch(1918)により本属に含められた種のうち,真のRrynchoplax属3種以外はNeorhynchoplax属に移された。両属は非常に近縁であるが,Rhynchoplax属では口腔が第3顎脚で完全に閉ざされており,また雄の腹部は6節から成っている。額角の形態はNeorhynchoplax属と同様にやや変異に富み,本報告中の1種(R.hondai)では,3葉とたっていない。しかし,いずれの種においても中央のものが著しく長く,その特徴によりHalicarcinus属から容易に区別される。2新種の模式標本は九州大学農学部動物学教室に保存されている。標本を提供して下さった当教室の馬場敬次助手および奄美大島赤木名中学校の本田紘一教諭に深謝する。1)Rhyncholpax keijibabai sp. nov. ニューカレドニア産,1雄1抱卵雌,雄は甲長(額角を含む)2.8mm,甲幅2.0mm,抱卵雌は甲長2.4mm,甲幅1.9mm,本種はツノダシヤワラガニR. coralicola Rathbunに近縁で,鋏脚および歩脚の形態は酷似している。しかし,下記の特徴により容易に識別される。(1)甲の形態が洋梨形である。(2)背面の縁取り上に棘状歯をもたない。(3)額角は長く,また基部の歯は非常に小さい。(4)眼窩,額域が背面より前方に強く突出している。(5)眼窩外角は棘状歯とならない。(6)歩脚の指節は一様に細い。2)Rhynchoplax hondai sp. nov. 琉球列島徳之島産,1雌,甲長(額角を含む)2.2mm,甲幅(側歯を含む)2.0mm,本種はヤワラガニR.messorに酷似するが,甲の前側縁に葉状歯をもたず,また額角の形態が明らかに異なる。ヤワラガニでは額角は短いヘラ状で,基部に棘状歯を備えるが,一方本種の額角は長く,やや先細りの突出で,基部に棘ないし歯をもたない。
- 日本甲殻類学会の論文
著者
-
三宅 貞祥
九大・農・動
-
三宅 貞祥
九州産業大学
-
三宅 貞祥
九州産業大学工学部
-
三宅 貞祥
日本甲殻類学会
-
武田 正倫
国立科学博物館
-
三宅 貞祥
九州大学農学部動物学教室
-
武田 正倫
九州大学農学部動物学教室
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