日本産サンゴヤドリガニ類 : VII. キクメイシヤドリガニ属(新称)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
Favicola(キクメイシヤドリガニ属,新称)はFIZE and SERENE(1957)によりTroglo-carcinus属の亜属として設けられ,5種が知られている。形態,生態ともCryptochirus(ケブカサンゴヤドリガニ属)に酷似し,外形だけでは区別することができない。ほとんど唯一ともいえる区別点は,Fovicolaの雌では3対の腹肢のうち第1腹肢に外枝があるのに対し,Cryptochirusでは3対の腹肢すべてに外枝を欠いていることである。McCAIN and COLES(1979)が,ハワイ産のHapalocarcinus marsupialis STIMPSON(サンゴヤドリガニ)とPseudoha-Palocarcinus ransoni FIZE et SERENE(ヒメサンゴヤドリガニ)において二叉型腹肢の数が必ずしも一定していたいことを報告しており,FavicolaとCryptochirusを雌の腹肢の状態によってのみ区別することは問題があるかもしれないが,本報告で扱った標本では雌の腹肢は安定しており,属名はFavicolaを生かした。問題となった種はいずれも瘤を作る種であり,穿孔性の種よりも形態の上でも特殊化が進んでいることが推察される。本報告ではF.rugosa(EDMONDSON)(キクメイシヤドリガニ,新称),F.helleri(FIZE et SERENE)(ヤエヤマキクメイシヤドリガニ,新称)の2既知種とF.japonica sp. nov.(ヤマトキクメイシヤドリガニ,新種新称)を記録し,新種を含めた全6種に対する検索表を作成した。
- 日本甲殻類学会の論文
著者
-
武田 正倫
Department Of Zoology National Science Museum Tokyo
-
武田 正倫
国立科学博物館
-
田村 洋一
Department Of Zoology National Science Museum Tokyo
-
田村 洋一
国立科学博物館動物研究部
-
田村 洋一
都立大
-
田村 洋一
Faculty of Science, Tokyo Metropolitan University
関連論文
- 東京湾に迷人したコククジラに付着していたクジラジラミの1種,Cyamus scammoni Dall(甲殻綱,端脚目,クジラジラミ科)
- クマドリオウギガニ(ヤクジャーマガニ)の幼生の発生
- 東京湾で採集されたチュウゴクモクズガニ(上海ガニ)
- 赤坂御用地に点在する庭園池沼群の陸水生物相[図版1-14]
- 相模灘のホンヤドカリ類相の再検討
- 常盤松御用邸に生息する陸産緩歩動物(クマムシ類)
- 皇居の内濠産エビ類および魚類から得られた寄生性甲殻類
- 伊豆半島下田沿岸のワレカラ類
- 伊豆・マリアナ島弧の自然史科学的総合研究 : 調査結果の概要
- 伊豆海洋公園産浅海性ヤドカリ類(甲殻上綱:十脚目:異尾下目)
- 皇居の生物相 : III.昆虫相
- 皇居の生物相 : II.動物相(昆虫類を除く)
- 関東平野および後背山地を中心とする地域の自然史科学的総合研究
- 関東平野および後背山地を中心とする地域の自然史科学的総合研究 : 実施の目的と平成12年度調査研究の成果
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : III.沿岸の生物および土壌
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : II.海洋生物(動物(節足動物〜脊索動物))
- 相模灘およびその沿岸域における動植物相の経時的比較に基づく環境変遷の解明 : I.海洋生物(褐藻および動物(海綿動物〜環形動物))
- パイプウニと共生するパイプウニヤドリエビ(新称)について〔英文〕
- サボテングサにつくヒメコノバガニ(新称)について〔英文〕
- 相模灘西部浅海産カニ類
- インドネシア深海産4種の巨大甲殻類
- 津軽海峡を中心とする地域の自然史科学的総合研究
- 小笠原諸島のカニ類 : I. 既知種の目録
- ヤワラガニ科Rhynchoplax属の2新種
- パラオ諸島産ヤワラガニ科の1新種
- ハワイ諸島産Lybia属の1新種,L. edmondsoni
- ニュージーランド海域のカニ類(分類・生態・形態)
- 東支那海産カニ類(I) : 方頭類(分類・生態・形態)
- オウギガニ科ケブカガニ亜科2種の第一ゾエア
- 22. 琉球列島産テナガエビ科モシオエビ属の2未記載種について(日本動物分類学会第36回大会講演抄録)
- 東シナ海で得られたカニ類
- エンコウガニ科ノコギリエンコウガニ属を構成する4種(九州パラオ海嶺産の1新種を含む)
- 日本産サンゴヤドリガニ類 : X. 八丈島産の種類
- 日本産サンゴヤドリガニ類 : IX. 紀伊半島, 串本と古座より得られた種類
- 日本産サンゴヤドリガニ類-11-紀伊半島,串本と古座より得られた種類〔英文〕
- 日本産サンゴヤドリガニ類 : VII. キクメイシヤドリガニ属(新称)
- 日本産サンゴヤドリガニ類 : V. ケブカサンゴヤドリガニ属
- 12.日本産サンゴヤドリガニ類(動物分類学会第16回大会講演要旨)
- IV. ケアシサンゴヤドリガニ属(新称)(日本産サンゴヤドリガニ類)
- III. クボミサンゴヤドリガニ属(新属, 新称)(日本産サンゴヤドリガニ類)
- 日本産サンゴヤドリガニ類. : II.ヒメサンゴヤドリガニ属(新称)
- 日本産サンゴヤドリガニ類-4-ケアシサンゴヤドリガニ属(新称)〔英文〕
- 日本産サンゴヤドリガニ類-3-クボミサンゴヤドリガニ属(新属,新称)〔英文〕
- 日本産サンゴヤドリガニ類 : I. クサビライシ属より得られた3種
- 日本産サンゴヤドリガニ類-1-クサビライシ属より得られた3種〔英文〕
- 14.Fungia属から得られたサンゴヤドリガニ3種(動物分類学会第15回大会講演要旨)
- 白風光KH-05-01次航海で採集された琉球列島沖深海産カニ類
- ケルマデック諸島産クモガニ科アケウス属の1新種
- フィリピン,バリカサ島産のキンセンモドキ属カニ類(甲殻綱十脚目)
- フィリピン産ケブカガニ科(甲殻綱,十脚目)の1新種
- 琉球列島海底洞窟産ワタリガニ科の新種,クメジマドウクツガザミ
- 日本産オオヒメアカインガニおよびトリウミアカイソモドキの分類学的知見
- 琉球列島の海底洞窟から得られたカルパガザミ属の新種
- 小笠原諸島のカニ類-7-魚類の胃中より得られたカニ類-3-〔英文〕
- 小笠原諸島のカニ類, VI : 魚類の胃中より得られたカニ類, 第2報
- 小笠原諸島のカニ類,II : 魚類の胃中より得られたカニ類,第1報
- 天草諸島のカニ類相
- パラオ産カイガラカツギ属ヤドカリの1新種
- 皇居の内濠より得られた原生動物,輪虫類,鰓脚類および橈脚類.II.
- 常盤松御用邸内庭園池の陸水生物相[図版1-7]
- 秋篠宮邸内庭園池の陸水生物相[図版1-6]
- 皇居の動物相モニタリング調査
- 赤坂御用地と常盤松御用邸の動物相
- 相模灘のカニ類相
- 相模湾葉山沖(水深20〜30m)の短尾類相
- 中新世松山層群産のクモガニ料の 1 新種
- 下部白亜系宮古層群産カニ化石
- 寄生貝と共生貝 (貝の世界)
- ヒメシオマネキ巨大組脚の左右性と異常例について
- ヒメシオマネキ巨大鉗脚の二型性と分類学上の問題について
- 12.左右ともに巨大鉗脚をもつヒメシオマネキの雄(動物分類学会第9回大会講演要旨)
- オウギガニ科シカクアワツブガニ属(甲殻綱,十脚目)について
- 女川湾および周辺海域のカニ類
- 台湾産イワガニ科の1新種
- 紀伊半島産数種のカニ類について
- 更新世東谷層産化石イボイチョウガニについて - 特にその産状と保存(タフォノミー) -
- 北陸・山陰地域の自然史科学的総合研究
- 皇居の内濠より得られた原生動物, 輪虫類, 鰓脚類および橈脚類
- インド太平洋産ケブカガニ科 XI : 日本産ケブカガニ属の特異な 1 新種
- タイ沖アンダマン海の深海性カニの 1 新種
- 知多半島師崎層群産端脚甲殻類の一種
- 九州パラオ海嶺産エゾイバラガニ属の 1 新種
- 日本産イワガニ科の 1 新種
- フィリピン・ボホール島洞窟産のカニ一新種
- 伊豆新島沖の高瀬から得られたカニの 1 新種
- 中部太平洋産サンゴと共生するカニ類の 2 新種
- 中部太平洋産サンゴと共生するカニ類2新種〔英文〕
- 西表島沖産クモガニ科はの1新種
- オーストラリアおよび日本産のミナミコメツキガニ
- オ-ストラリアおよび日本産のミナミコメツキガニ〔英文〕
- 馬毛島沖浅海産のカニ類
- 馬毛島沖浅海産のカニ類〔英文〕
- セイシェルス・バンクから採集されたヒシガニ科の1新種
- 東支那海産カニ類, VI. : 白鳳丸 KH-73-3 次航海によって得られた男女群島沖のカニ類
- セイシェルス・バンクから採集されたヒシガニ科の1新種〔英文〕
- タカアシガニの額角とイセエビの眼柄に出現した奇形
- 沖縄産カクレガニ科の1新種
- 4. ETI-JapanのCD-ROMによる分類学(日本動物分類学会第31回大会記事)
- 瀬戸内海産カニ類
- カラッパの採餌習性