パラオ産カイガラカツギ属ヤドカリの1新種
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概要
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昭和61年度文部省特定研究として鹿児島大学南方海域研究センターにより実施されたオセアニア海域における水陸総合学術調査の一環として,パラオにおいてトラップによるオウムガイの生息調査が行なわれた.その際,共存生物として採集された甲殻類資料中に,ホンヤドカリ科カイガラカツギ属Porcellanopagurusのヤドカリ1個体が見出された.採集地点はパラオ・コロール島南西,水深230mの外礁部斜面である.この属には従来6種が知られている.パラオ産の標本は,相模湾から東シナ海にかけて分布するカイガラカツギP. japonicus BALSSとニュージーランド南方海域に分布するP. edwardsi FILHOLに近い.しかし,甲の側縁最後歯が横に著しく突出し,かつ前方に湾曲する(カイガラカツギでは突出するが先端が尖り,P. edwardsiでは先端が前方に湾曲することがない).第4脚の前節は伸長してへら状を呈する(カイガラカツギでは前節の伸長が認められず,P. edwardsiでは鋏状を呈する).P. edwardsiは鱗状の隆起を歩脚に備えるが,本標本の歩脚は比較的滑らかである.また本標本では第2歩脚の前節後縁には10個の小棘があり,そのうち先端の3個が並列しているのに対し,カイガラカツギでは7個の小棘が並び,そのうち先端の2個が並列している.結果として,パラオ産の標本はカイガラカツギあるいはP. edwardsiに近縁の別種と考えられ,P. belauensisという学名を与えた.
- 1987-12-25
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