胎盤性Estrogen産生酵素の妊娠時期による変化
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概要
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妊娠週数に伴うestrogen生成機構の変化を検討するため胎盤機能のagingを中心としたin vitro,及びinvivo実験を行い以下の成績を得た.1)正常妊娠経過中の母体血中total estradiol値をRIA法で測定すると,妊娠8週では4.07±1.74(mean±SD)ng/ml,24週で27.72±11.67,40週で104.12±57.89と著明に上昇した.2)119例の妊娠14〜42週で得た胎盤の重量は妊娠週数とともに漸増し,妊娠24週では252.5±85.0(mean±SD)g,40週で466.2±86.7であった.24週から40週の胎盤重量の増加は約2倍でありtotal estradiol値の同時期での増加3.7倍より少ない.3)DHA-S静注法を用い妊娠経過による胎盤のestrogen産生能を検討した.DHA-S100mg負荷前後の遊離estradio1値を測定し最高値と前値の差を比較すると妊娠初期で平均1.01ng/m1中期では29.2,末期では98.2であり末期では中期の約3.4倍に上昇した.4)胎盤組織のsteroid産生酵素活性を^<14>Csteroidを用いた代謝実験で検討するとsulfatase, 3β-HSD活性は妊娠初期,中期,末期と一定で差がみられなかった.一方aromatizing enzymeは初期0.82±0.03 (mean±SD)nmole/naskと,中期0.98±0.14では変化がないが中期から末期2.08±0.18にかけて有意(p<0.001)な増加が認められた.これらの実験成績から血中estradio1値及びDHA-S負荷試験でみられた妊娠中期から末期にかけて急激に上昇するestrogen生成には,胎盤重量の増加及び胎児からのestogen前駆物質の分泌増加の他に胎盤でのestrogen生成酵素のうちaromatizing enzyme活性の亢進も一役を演じていることが示された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1985-04-01
著者
-
平戸 久美子
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
矢内原 巧
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
中山 徹也
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
矢内原 巧
昭和大学医学部
-
荒木 日出之助
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
中山 徹也
昭和大医
-
瀬尾 文洋
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
石田 珠明
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
福田 健生
昭和大学医学部産科婦人科学教室
-
石田 珠明
昭和大学
-
瀬尾 文洋
昭和大学医学部産婦人科学教室
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