胎児仮死の病型分類とその臨床的意義に関する研究
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概要
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大阪大学分娩育児部において1968年より1975年までの8年間に分娩監視装置を使用した581例のうち,仮死例を中心にCTG所見の明らかな135例を抽出し,妊娠週数,年令,経産回数,合併症,分娩経過,分娩様式,新生児,胎盤の臨床所見と,胎児心拍陣痛図の所見につきマークカードにマークし,竹村による病型分類(器質的仮死,慢性仮死,亜急性仮死,急性仮死,本態性仮死)を試み,その臨床的意義につき検討した結果,以下の成績を得た. 1) 胎児仮死の病態分類とHigh Risk Pregnancyに関しては,高年初産に器質性仮死は多く,妊娠中毒症に慢性仮死が多く,骨盤位には亜急性仮死と急性仮死が多く認められた. 2) 仮死63例のうち,急性仮死が29例(46.0%)で一番多く,次いで慢性仮死19例(30.2%),亜急性仮死13例(20.6%),器質性仮死と本態性仮死の各1例(1.6%)であつた.又,Apgar score 7〜5点の軽症仮死に急性仮死が多く,Apgar score 4点以下の重症仮死には,相対的に慢性仮死が多く見られた. 3) 急性仮死は男児に多く,慢性仮死,亜急性仮死は女児に多く認められた. 4) 慢性仮死には羊水混濁や胎盤機能不全を多く伴い,急性仮死は〓帯巻絡が多く認められた. 5) 初産婦に重症新生児仮死が,経産婦に軽症仮死が多い傾向をみた. 6) 分娩監視装置使用例において仮死例が非監視群より多く認められたが,新生児仮死発生率は,年々低下しつつある. 以上より,今後さらに積極的なSFD慢性仮死に対する胎児治療の重要性が指摘されると同時に,分娩監視の徹底によつて,急性,亜急性仮死の減少を計る必要があると思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1978-09-01
著者
-
青木 嶺夫
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
青木 嶺夫
大阪大
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
倉智 敬一
大阪府立母子保健総合医療センター
-
千葉 喜英
国立循環器病センター
-
長谷川 利典
大阪大学 医学部 保健学科
-
浅田 昌宏
箕面市立病院
-
芹生 順一
大阪大
-
千葉 喜英
国立循環器病センター周産期治療科
-
竹村 晃
大阪大
-
千葉 喜英
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
長谷川 利典
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
竹村 晃
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
芹生 順一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
浅田 昌宏
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
大湊 茂
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
今井 史郎
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
長谷川 利典
大阪大学医学部保健学科医用工学講座
-
芹生 順一
大阪大学医学部産科婦人科
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