周産期におけるHigh-Riskスクリーニング指数(PASS)の開発とその採点評価に関する研究
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概要
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我々は竹村が開発した一つの周産期異常スクリーニング指数(PASS)を昭和50年度阪大病院分娩育児部において出産した453例全例に適用し,分娩時および新生児の異常を予測しようと考え定量評価を試みた.PASSの内容は〔I〕妊娠前の異常,〔II〕妊娠時の異常,〔III〕胎児胎盤〓帯羊水の異常,〔IV〕分娩時の異常,〔V〕新生児の異常,それぞれ10項目の0, 1, 2点の3段階評価である.5群において,各得点の度数が2項分布に類似することから,各群は2項分布P_x=(n/x)p^x(1-p)^<n-x>(n=20)をとると仮定すると説明しやすい.Pの比較より,〔I〕>〔II〕>〔IV〕>〔V〕>〔III〕の順に異常点数が高く,また〔IV〕分娩時の異常が9点以上をとる症例を,〔V〕新生児異常では7点以上の症例をそれぞれ異常群として判別式を計算した.分娩時の異常は妊娠前の異常との相関が最も高く,妊娠時の母体異常とは比較的相関が低い.新生児の異常は妊娠前の母体異常とは相関がほとんどなく,胎児胎盤〓帯羊水の異常による影響が最も大きいという結果を得た.分娩時異常は当然,新生児異常に関連し,これらは合わせて胎児胎盤の異常とよく相関する所から,周産期医学にとつて,胎児胎盤の異常の評価がいかに重要であるかが示唆される.重回帰式による分娩時の異常の予測(A)は重相関係数0.426を,新生児異常の予測では分娩時の情報を含まず(B)重相関係数0.538,分娩時の情報を加えて(C)0.554であつた.判別式における予測でも,それぞれの判別効率は(A)0.717, (B)2.283, (C)2.372,正診率は(A)69.1%, (B)79.8%, (C)80.6%を得,分娩時の異常の予測は新生児異常の予測に比べて困難であり,新生児異常の予測には分娩時の情報を加えることで若干の改善をみた.しかしながら異常群のばらつきが,分娩時,新生児とも非異常群に比して大きいことは,PASSの細かい内容や採点方法に関し,今後さらに検討さるべき数多くの問題点を示唆しているものと思われる.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1977-03-01
著者
-
末原 則幸
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
末原 則幸
大阪大学医学部産科婦人科
-
倉智 敬一
大阪大学医学部産婦人科学教室
-
清水 克彦
紀南綜合病院(社保)
-
長谷川 利典
大阪大学 医学部 保健学科
-
浅田 昌宏
箕面市立病院
-
芹生 順一
大阪大
-
竹村 晃
大阪大
-
千葉 喜英
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
長谷川 利典
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
竹村 晃
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
清水 克彦
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
芹生 順一
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
浅田 昌宏
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
大湊 茂
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
今井 史郎
大阪大学医学部産科婦人科学教室
-
長谷川 利典
大阪大学医学部保健学科医用工学講座
-
芹生 順一
大阪大学医学部産科婦人科
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