周産期事象,ことに妊娠中毒症徴候と妊娠分娩の予後に関する多変量解析

概要

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1. 妊娠後半期における中毒症症状(収縮期血圧,拡張期血圧,体重増加,浮腫,尿蛋白)間の関係を検討し,収縮期血圧と拡張期血圧の間,および非妊時よりの体重増加と浮腫の間に正の相関を有することが確認された. 2. 妊娠7ヵ月より10ヵ月後半までの各時期の中毒症症状は,それぞれ時系列配列間において相関を認めた.このことは妊娠中毒症の早期からの管理の重要性を示唆している. 3. しかし妊娠後半期において中毒症の三主徴とされる高血圧,浮腫,尿蛋白の間に一定の関係を認めることはできなかつた. 4. 母体固有情報(年令,妊娠回数,分娩回数,身長,非妊時体重)と中毒症症状が周産期事象(妊娠持続日数,分娩時出血量,児娩出1分後のアプガー指数,児体重,児身長)それぞれに与える影響を重回帰式を用いて比較した.その結果,児体重への影響が最も大きく,ついで児身長,妊娠持続日数の順であつた.また,分娩時出血量および児娩出1分後のアプガー指数は中毒症症状からの影響を受けないことが示された.
社団法人日本産科婦人科学会の論文
1978-10-01