FSHとLH比を変えたhMG製剤の卵胞成熟, 排卵への効果について
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概要
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生物学的活性の異なつたFSHとLH比を持つた, human menopausal gonadotropin (hMG)を用いて, hMGの卵巣への効果をみるため, hMG負荷テストを行い, その後, それらのhMGを用いて, 排卵誘発を行い, 臨床的に効果を比較検討した. 正常月経周期を有する婦人5名の卵胞期中期(day 5〜day 9)にFSH:LHが1.2:1 (GNR 1.2), FSH:LHが1.6:1 (GNR1.6), FSH:LHが3.0〜3.1:1 (GNR 3)の生物活性を有するhMGを300IU, 各々異なつた周期に1回皮下投与し, 投与前, 24時間, 48時間, 72時間後の血中E_2レベルを測定した. GNR 1.2, GNR 1.6負荷時には24時間後に2.3倍, 2.1倍とピークをとり, 以後緩やかに減少した. GNR 3は48時間後に2.4倍を示し, 72時間後も2.3倍と高値を示した. 6例の無月経, 8例の無排卵周期症, 10例の黄体機能不全症の婦人にGNR 1.2, GNR 1.6, GNR 3を用いて排卵誘発を行つた. 各々の治療周期には1種類のhMGのみを使用し, 対象婦人すべてに3種類のhMGを異なつた周期に用い検討を加えた. 対象24例において, 排卵に必要な一治療周期当たりのhMGの平均総使用量はGNR 1.2で1,125IU, GNR 1.6で1,050IU, GNR 3で925IUとGNR 3で少なく, 排卵成功率はGNR 1.2で70.8%, GNR 1.6で79.2%, GNR 3で87.5%であつた. また, 卵巣過剰刺激の発生率はGNR 1.2で4.2%, GNR 1.6で8.3%, GNR 3で8.3%であつた. 以上の結果から, hMGによる排卵誘発の場合, hMG製剤のFSHとLHの比を変えることは卵胞発育に大きな影響を与えるものと推察される. またこの比を調節することにより, より的確な排卵成功率を得ることおよび卵巣過剰刺激症候群の防止に役立たせる可能性が示された. また今回検討したGNR 1.2, 1.6, 3の範囲では, 有意差は認められなかつたが, hMG負荷による効果の持続, 一排卵周期当たりのhMGの総使用量, 排卵成功率などの点から, hMGにおいて, その生物活性のFSH:LHの比率が, 1.2〜3.1 : 1の間においては, 高FSHのhMG製剤(今回においてはGNR 3)の, 将来臨床における, より一層の可能性が示唆された.
- 社団法人日本産科婦人科学会の論文
- 1988-04-01
著者
-
野中 聡
旭川医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
-
野中 源一郎
九州大学薬学部
-
野中 誠
昭和大学藤が丘病院呼吸器外科
-
野中 薫雄
琉球大学医学部器官病態医科学講座皮膚科
-
石田 芳也
北見赤十字病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科
-
久保田 俊郎
東京医科歯科大学生殖機能協関学
-
斎藤 幹
大川病院
-
斎藤 幹
東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室
-
市村 三紀男
東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室
-
市村 三紀男
取手協同病院(厚生連) 産婦人科
-
鎌田 周作
東京医科歯科大
-
小山 嵩夫
東京医科歯科大学産科婦人科学教室
-
大原 基弘
東京医科歯科大学医学部産婦人科学教室
-
大原 基弘
東京医歯大
-
久保田 俊郎
東京医科歯科大学医学部附属病院 周産女性診療科
-
小山 嵩夫
東京医科歯科大学医学部産科婦人科
-
大原 基弘
土浦協同病院
-
大原 基弘
東京医科歯科大学 産婦人科
-
大原 基弘
取手協同病院(厚生連) 産婦人科
-
斎藤 幹
東京医科歯科大学 産婦人科
-
小山 嵩夫
東京医科歯科大学医学部 産科婦人科学教室
-
久保田 俊郎
東京医科歯科大学 産婦人科
-
斎藤 幹
東京医科歯禿斗大学産科婦人科教室
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