三染色体植物における量的形質の定方向変化 : イネの三染色体植物に関する研究(II)
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概要
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先に作出し,分類したイネ三染色体植物は主として質的形質を基準にしたものである。ここでは量的形質の特異的変化を明らかにする目的で,主成分分析を適用し,その「総合特性」から分類の有効性と二染色体植物からの形質変化の様相を検討した。量的形質としては,稈長,穂長,一穂籾数,籾長,籾幅および種子稔実歩合の6形質とした。まず主成分のうち,第1,第2主成分でほとんどの分散が説明できたので,第1,第2主成分を軸として散布図を求めた。単純三染色体植物と二染色体植物は,4つの異なる品種から派生したにもかかわらず,それぞれがかなりまとまった範囲に散布したため,「総合特性」としての量的形質の変化は単純三染色体植物の種類ごとに特異的に起っていることが明らかとなった。つぎに,複三染色体植物とその自殖後代で分離する2種類の単純三染色体と二染色体植物相互の散布範囲を比較した。その結果,複三染色体植物は2種類の単純三染色体植物が示す形質変化を同時に保有する範囲に散布し,いわば2種類の単純三染色体植物の特徴を合成した総合特性を表現した。以上から,つぎのように結論される。1)各単純三染色体植物は二染色体植物とは明らかに区別でき,単純三染色体植物間でもそれぞれの型ごとに比較的一定の特性を示す。2)単純三染色体植物の染色体添加は過剰染色体の種類によって特異的な形態形質の変化をもたらす。3)複数の過剰染色体が添加しても,各過剰染色体の形質変化に及ぼす特異的な影響力は不変であり,しかも相加的である。
- 日本育種学会の論文
- 1976-03-01
著者
-
岩田 伸夫
九州大学農学部
-
中川原 捷洋
Staff農林水産先端技術研究所
-
岩田 伸夫
九州大学農学部育種学教室
-
岩田 伸夫
九大農
-
秋浜 友也
農林水産省果樹試験場
-
中川原 捷洋
農業技術研究所:(現)農林水産省北陸農業試験場作物部
-
秋浜 友也
果樹試験場
-
中川原 捷洋
農業技術研究所
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