ナシ冬芽茎頂の凍結保存
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概要
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ニホンナシの冬芽茎頂を用い,液体窒素(-196℃)中での生存条件を明らかにするため,ジメチルスルホキシド(DMSO),グルコース,ソルビトールの凍害防御効果および予備凍結温度と凍結保存後の加湿.速度の影響を検討した.-40℃で予備凍結した冬芽茎頂は,凍害防御剤を加えずとも,液体窒素中に投入後,生存することが認められた(Table 1)・0`10℃の予備凍結では,38℃の温湯中で、急速に,または0℃の空中で緩慢に加温しても茎頂は生存できず,-20`-30℃の予備凍結では,、急速に加温した場合の生存率は緩慢に加温した場合よりも高かった.そして,-40℃,またはそれ以下の温度で予備凍結すると,加温方法にかかわらず,液体窒素中に投入後約80%の茎頂が生存した(Fig.1)・さらに,冬芽茎頂の液体窒素中での長期保存の可能性を検討するため,10% DMSO 溶液とともに最高40日間保存した、その後,38℃の温湯中で急速に加温し,生存率を調べたところ,40日間の保存でも,95.2%と高い生存率を得た(Table2, Fig.2).以上のことから,ニホンナシの冬芽茎頂の液体窒素中での長期凍結保存の可能性を示すことができた.
- 日本育種学会の論文
- 1985-06-01
著者
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