稻体各部色調の記号化とその分類への応用についての一試案

概要

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従来稲体の各部色調による分類例は多いが,色調の表現方法や取り扱う形質数がまちまちであるため,客観性に乏しく同定を可能にするに到らたい。そこでこれを解決するための」方式として,対象形質数を整理するとともに,色調をマンセル方式で表現し,客観的分類を試みた。(1)15カ国産の内外稲630品種を供試し,出穂期における葉身,葉鞘,葉鞘内部,棄耳,葉舌,葉褥,節,節間,隔膜下面,程先,護頴,柱頭および成熟期の頴,浮先の色調をつぎのようた方法で記載した。色相(2.5,5.0,7.5,10.0)・(色名)・(明度階級)/(彩度階級)(2)稲体における色調の形質別出現頻度をみると,花青素によるものは14形質全般にみられ,出穂期の俘先,葉鞘内部,柱頭,節間,葉鞘だとの順で高い,またその他の色調は成熟俘先,隔膜下面,成熟頴,節の順で高く,この4形質のみにみられる。(3)稲体における色調をマンセル記号で表わすと,RP,R,YR,Yのわずか4色相の範囲にすべてが含まれ,しかも花青素による色調はRP色相上のみに存在する。多彩であると考えられていた色調は,明度と彩度の差であることがわかった。明度,彩度の分布幅の広い形質として,花青素による色調では,出穂期の葉鞘,葉鞘内部,節間,程先,護頴などでおる。その他のものでは出穂期の隔膜下面,成熟期の秤先,頴たどでこれは色椙も豊富である。(4)分類対象形質を整理するため,さらに花青素による色調の出現都位相互間の関係を調べると,従来の研究と同様た結果を得たので,出穂期における葉鞘内部,俘先の2形質で代表させることができた。(5)以上の結果から,対象形質を出穂期の隔膜下面申務先,葉鞘内部,成熟期における檸先,頴の5形質にしぼり,この順序で色調を改良マンセル記号で表示し,さらに色相名,色相,明度,彩度を0〜4の5階級の数字にかえて分類した。この方式で色調をもつ品種の過半数が分類できたので,色調のみによってもある程度分類裁定が可能であると考える。
日本育種学会の論文
1962-12-25

稻体各部色調の記号化とその分類への応用についての一試案

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