気象庁全球モデルを用いた数値実験による海面水温変動によって強制されて起きる大気変動と季節平均場の予測可能性に関する研究
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概要
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気象庁全球モデルを用いて、アンサンブル気候実験を行い、海面水温 (SST) 変動に強制されて起きる大気の長期変動と、季節平均場の予測可能性について調べた。モデルの34年時間積分を3回実行した。3つの時間積分はいずれも1955-1988年の実測のSSTを境界条件としているが、大気の初期状態が異なっている。季節平均場の全変動のうち、SSTの変動で強制されて起きている変動の割合 (分散比) を計算した。この分散比は、SSTが完全に予測された場合の最大予測可能性 (ポテンシャル予測可能性) を示すものと考えられる。気圧場の分散比は一般に熱帯では高い (50-90%) が、中高緯度では低い (30%以下)。このことは、季節平均気圧場の (ポテンシャル) 予測可能性は、熱帯では高いが、中高緯度では低いことを示唆している。一方、季節平均降水量の分散比は、ブラジルの北東部の74%、インドモンスーンの31%というように、熱帯の中でも地域によって大きく異っている。全球平均の陸上の地表気温の分散比は高い (66%) が、ほとんどの陸上の地点での局地的な地表気温の分散比は低く (30%)、海面水温予測にもとづく局地的な陸上の気温の予測可能性が小さいことを示唆している。
- 1997-06-25
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