擾乱と平均モンスーン循環との順圧相互作用
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概要
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9年間 (1985〜93) の850 hPa 水平風から2〜10日周期帯と30〜90日周期帯の擾乱を抽出し, それぞれ SPO (5日周期擾乱), MJO (45日周期擾乱)と呼ぶ. 6月下旬の第35半旬を代表として選び, 局所的 Eliassen-Palm (E-P) 波束を用いて擾乱と平均モンスーン循環との順圧相互作用について調べる. SPO の構造は地域により異なる. 梅雨フロント上(30゜〜35゜N, 130゜〜180゜E)では東西に長く延びた構造をもち, 西部北太平洋モンスーン域 (5゜〜20°N, 120゜〜140゜E) では, やや南北に延びた非等方性である. これらの擾乱による E-P 波束は平均風シアーと同じ方向に向いているので, 順圧相互作用により擾乱の運動エネルギーが増す傾向がある. 一方インド・モンスーン域では SPO の振幅は小さく, また近似的に等方性なので E-P 波束も弱い. モンスーン・トラフ内の MJO は順圧的に平均場のエネルギーを吸収しながら, また平均場の下層収束を強めることにより活性化した積雲群を伴いながら, アラビア海から西部北太平洋まで東進する. 上層の MJO は順圧相互作用により平均モンスーン循環に運動エネルギーを吸い取られてしまうので, 下層の MJO ほど強くなりえない. 順圧相互作用によるエネルギー変換の方向が上層と下層で反転するのは平均モンスーン循環の傾圧性による. 順圧相互作用の上下非対称性と, 積雲による強制力が反転することを考慮に入れると, 鉛直積分 (平均) した相対渦度は, 下層の影響を強く受けて, 積雲域では低気圧性渦度となる. 一方, 中緯度の45日周期擾乱は上下で位相がほぼ等しい, 順圧的構造をもつ. 中緯度45日周期擾乱と平均場の偏西風ジェットとの順圧相互作用は200 hPa 付近で最も顕著になるようである.
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1996-04-30
著者
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