夏季モンスーン循環と45日周期擾乱とのインタラクション
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概要
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平均モンスーン流と45日周期擾乱とのバロトロピック・インタラクションを、水平シアー・ベクトルとE-Pフラックスとのスカラー積によって調べた。さらに、乾燥 (湿潤) バロクリニック・インタラクションを、E-Pフラックスの鉛直成分を表す、擾乱による顕熱 (潜熱) 輸送量と平均流の鉛直シアーとのベクトル積によって評価した。9年間 (1985-1993年) における擾乱の運動エネルギーの時間変化により、45日波動擾乱の活動をモニターした。45日擾乱の活動度は、SEAM (東南アジアモンスーン) 領域では相対的に弱い。それに対し、WNPM (北西太平洋モンスーン) は地理的に固定されたforcingがないことから、その活動はより激しく、強い熱帯低気圧が頻繁に発達する8月後半に、45日波動擾乱は極大に達する。WNPMの中心地域 (15N,140-150E)付近では、E-Pフラックスは平均東西風及び南北風のシアーを弱める方向に向き、これはバロトロピック不安定による45日擾乱の増幅を意味する。WNPM領域では温度傾度が小さいので、乾燥バロクリニック不安定は重要ではない。これに反し、擾乱による水蒸気輸送とモンスーン流の鉛直シアーが近似的に直交しているので、湿潤バロクリニック過程が卓越している。興味深いことに、45日擾乱は極大期に当る8月後半においても、日本付近で非常に活発である。バロトロピック不安定あるいは乾燥 (湿潤) バロクリニック不安定のどちらでも、この盛夏季の擾乱活動を説明することはできない。一方、WNPM領域で生じている45日振動の対流活動に伴って、日本付近そしてさらに東方へと、中緯度大気の強い応答が誘引され、偏西風ジェットに沿う45日スケールのロスビー波の分散を示唆している。アリューシャン諸島付近では、顕著な極向きの顕熱フラックスが平均温度傾度が下がる方向に向いており、結果としてコリオリ力の作用を通じて、乾燥バロクリニック過程による中緯度45日波動擾乱の増幅をもたらす。また、WNPM地域からの水蒸気の流入は、亜熱帯や中緯度地域での45日擾乱の湿潤バロクリニック不安定をもたらしている。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1995-12-25
著者
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