大河川流域の流出率による気象庁全球モデルの陸面水文過程の評価
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概要
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気象庁全球モデル(JMA-GSM89)の陸面水文過程を評価するために、流域面積の大きな27の河川について降水量と流出量を計算し、観測値と比較した。陸面水文過程にはSiBモデルを、積雲対流スキームはKuo方式とPAS方式の2つを用いた。1979-1988年の海面温度を境界条件として10年間積分し、その年平均値について解析した。モデルの降水量の全球分布は、PAS方式がKuo方式よりも観測値に近い。流域ごとに見ると、両方式ともモデルの降水量と観測値はかなり高い相関があるが(相関係数、Kuo方式:0.67、PAS方式:0.88)、流出量はこれより相関が低い(相関係数、Kuo方式:0.51、PAS方式:0.68)。モデルの降水量や流出量は、モデルの陸面過程以外の部分の影響も大きく受ける。そこで、陸面水文過程の評価を行うために流出率(流出量/降水量)を計算し観測値と比較した。モデルの流出率は観測値よりも大きい河川流域が多く、Kuo方式、PAS方式ともに観測値との相関は小さい。とくに観測値の流出量200mm/yearより少なく、流出率が0.2の河川流域では、モデルは流出量を過大評価している。このことは、SiBモデルが乾燥地域で流出量を過大評価する、あるいは蒸発散量を過小評価する傾向にあることを示している。
- 社団法人日本気象学会の論文
- 1998-10-25
著者
-
杉 正人
気象研
-
杉 正人
気象研究所気候研究部
-
隈 健一
気象庁数値予報課
-
一柳 錦平
国立防災科学技術研究所
-
一柳 錦平
防災科学技術研究所 気圏・水圏地球科学技術研究部
-
千葉 長
防災科学技術研究所
-
佐藤 信夫
気象庁気象衛星室
-
隈 健一
気象庁予報部数値予報課
-
佐藤 信夫
気象庁観測部
-
隈 健一
気象庁
-
杉 正人
気象庁・気候情報
-
杉 正人
気象研究所
-
千葉 長
アカデミックエクスプレス
-
一柳 錦平
熊本大院・自然科学
-
隈 健一
気象庁予報部
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