災害対策としての短期育苗による水稲機械移植栽培

概要

論文の詳細を見る
1.播種時期がおそい場合は,少しでも早く移植した方が減収程度が軽く,作柄も安定している。その理由としては,育苗箱に密播しているため,ごく生育初期においてもすでに個体間競合が見られることと,すでにいわれているように,苗が小さいほど胚乳養分が多く残っているために植傷みが少なく,初期生育が良好であるためと考えられる。2.機械移植可能な育苗日数は,散播苗の場合7日以上あれば十分で,植付精度や深水条件下の生育などについても全く問題はないようである。3.その場合の育苗法としては,基肥1.5g/箱(N),出芽ぞろい後4日間位黒色不織布(遮光率約80%)を被覆して,苗の生育を良好にする必要がある。なお,その他の育苗法は一般の場合と同様でよい。4.九州北部の平坦地では,日本晴を用いる場合,平年的な気象条件では7月15日播でも,7日苗でかなりの収量を上げることができるので,このような短期育苗による機械移植栽培は,災害対策としても実用性が高いと考えられる。なお,気象の長期予報により,秋冷が早くなることが予想される場合の晩植限界は,7月10日頃と考えられるので,この点注意を要する。
日本作物学会の論文
1975-07-10