氷蔵中のタラとハマチ筋肉の呈味とIMP及び遊離アミノ酸含量の変化
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概要
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魚肉の呈味に対するIMPの役割を明らかにするため、タラとハマチの筋肉を前者は4日間、後者は8日間氷蔵し、氷蔵中の呈味及び呈味成分の変化を熱水抽出液を用いて調べ、それらの変化の様相を両魚種間で比較した。1.タラでは氷蔵開始後1日目で既にうま味、こく及び総合評価が明らかに低下し、4日目にはうま味が消失してしまうことが判明した。しかしハマチの場合は、即殺直後の熱水抽出液にのみ酸味が認められたが、うま味、こく、渋味、異臭、及び総合評価では8日間の氷蔵中差が認められず、良好な風味を保っていることが明らかとなった。2.遊離アミノ酸は、含量においては両魚種間で著しい差が認められるものがあったものの、いずれの魚種においても、貯蔵中はそれほど著しい変化は示さなかった。3.IMPはタラの場合、極めて速やかに減少し、味の低下とIMPの減少が一致した。これに対し、ハマチの場合、即殺直後の熱水抽出液に含まれるIMPの量はタラよりも多く、また、減少速度も緩やかなため、氷蔵8日目でもうま味を呈するための十分量以上のIMPが残存していた。4.タラとハマチの呈味と呈味成分の変化の様相を比較することにより、タラが急速に不味になるのはIMPが速やかに減少するためであり、ハマチが良好な味を保持しているのは十分量のIMPが残存しているためであることが判明した。
- 日本調理科学会の論文
- 1993-11-20
著者
-
坂口 守彦
京都大学農学部
-
村田 道代
華丁短大
-
塩田 二三子
華丁短大
-
村田 道代
華頂短期大学
-
塩田 二三子
華頂短大
-
赤羽 義章
日本新薬(株)食品技術研究所
-
塩田 二三子
華頂短期大学家政学部
-
塩田 二三子
華頂短期大学
-
赤羽 義章
福井県大 生物資源
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