粉末系における食品の抗酸化能に及ぼす水分活性の影響
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概要
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数種の高分子多糖、タンパク質、香辛料や嗜好品および食品産業副産物について、乾燥粉末系における抗酸化能に及ぼす水分活性の影響を検討し次の結果を得た。1)ジャガイモデンプン、セルロース、カードラン、コンニャク粉などの高分子多糖では、水分活性にかかわらず抗酸化能は見られなかった。2)SPI、ツェイン、カゼインなどのタンパク質では低水分活性領域ないし中間水分活性領域では抗酸化能は認められなかった。しかし、Aw1.0の高水分活性領域では、いずれにも抗酸化能が認められ、特にプロラミンに属するツェインではAw0.8以上と抗酸化能を示す領域が広かった。3)ガーリック、ターメリック、ジンジャーほかの香辛料では、水分活性にかかわらず強い抗酸化能が認められた。また、煎茶、コーヒー、ココアなどの嗜好品においても同様の傾向が得られた。4)食品産業副産物のうち酒粕および小麦ふすまでは中間〜高水分活性領域において抗酸化能が認められたが、低水分活性領域では認められずツェインと類似した傾向が得られた。また、米ぬかでは水分活性にかかわらず抗酸化能が認められた。5)乾燥粉末系における抗酸化能には、水分活性に影響されないものと、高水分活性領域で活性を示すものとが存在することが分かった。このパターンの相違は、試料中に含まれている抗酸化物質の作用機構の相違によるものと考えられた。
- 日本調理科学会の論文
- 2000-08-20
著者
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