加熱および乾燥したトビウオ脂質成分に与える低温保存の影響
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概要
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トビウオのオーブンおよび蒸気加熱,開き干しおよび丸干し作製後の低温保存(5℃)中の脂質成分の変化を調べた。加熱および天日干しにより重量が減少した。遊離脂肪酸(FFA)量は天日干しにより,生トビウオの5〜8倍に増加した。また,FFAはいずれも低温保存が長くなるとともに増加し,とくに開き干し28日保存では生および開き干し作製直後のものより有意に多かった(p<0.01)。リン脂質(PL)量は天日干しおよび保存中に生に比べて有意に減少したが,いずれも干物作製直後のものは保存中との有意な差はなかった。蒸気加熱および天日干しによりPOVが有意に高くなり(p<0.01),天日干しのPOVは保存14日をピークに28日では減少した。COVは加熱のものでは保存14日で,開き干しでは保存期間が長くなるとともに有意に高くなった(p<0.01).これは脂質酸化が開き干しよりも丸干しで進行したために丸干しの方がCOVが高値を示したと考えられる。TBAVはPOVと同様に,オーブン加熱では生と差がなかったが,オーブン加熱および丸干しでは保存期間が長くなるとともに高くなった。天日干しによってSFA,MFAの割合の増加,PUFAの割合の減少傾向がみられた。しかし,その後の低温保存中の変化はほとんどみられなかった。これらの結果から,魚の干物購入時にはすでにある程度,脂質が劣化しており,その後の低温保存中においても脂質の酸化や加水分解が進行することが確認された。
- 1997-11-20
著者
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