<原著>脳卒中片麻痺患者の歩行時の脊柱起立筋活動

概要

論文の詳細を見る
本稿の目的は, 片麻痺患者における歩行時の脊柱起立筋群および大殿筋の筋活動パターンと活動量を検討することであった.対象は片麻痺患者12名とした.測定は最大随意収縮(MVC)と自由歩行をさせ, 動作筋電図を用いて両側脊柱起立筋群と大殿筋の筋電図(EMG)を記録した.筋活動パターンは全波整流したEMGから検討した.筋活動量は各個人の1歩行周期を時間で正規化し, 各相の筋積分値(IEMG)を求め, 1秒間のMVC時のIEMGに対する割合(%IEMG)として表した.また患側大殿筋は, ・健側大殿筋のMVCを基準にして%IEMGを求めた.その結果, 脊柱起立筋群の筋活動パターンは立脚期前半・遊脚期後半に活動が低下する健常人に近い「健常パターン」と, 立脚期・遊脚期とも持続的に活動する「持続パターン」がみられた.%IEMGは患側の脊柱起立筋群では患側立脚期に33.1±19.5%, 遊脚期に34.5±18.9%, 全歩行周期を通して34.7±18.8%であった.健側の脊柱起立筋群では健側立脚期に24.3±12.8%, 遊脚期に36.9±13.7%, 全歩行周期を通して28.6±13.8%であった.患側の大殿筋では患側立脚期に19.5±17.1%, 遊脚期に11.9±7.0%, 全歩行周期を通して14.8±8.1%であった.健側の大殿筋では健側立脚期に37.0±33.2%, 遊脚期に22.9±21.2%, 全歩行周期を通して33.5±31.2%であった.また脊柱起立筋群の健側と患側の%IEMGの間に有意差はなく, 同程度の活動量がみられた.片麻痺患者において, 患側の脊柱起立筋群は股関節を伸展する大殿筋の筋力低下を補い, そして骨盤を挙上して下肢を振り出しやすくするために過剰に活動しているものと考える.
川崎医療福祉大学の論文
2001-12-25

<原著>脳卒中片麻痺患者の歩行時の脊柱起立筋活動

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク