先天性アミノ酸代謝異常症(シスチン尿症)に癲癇と知能発育不全を伴った小児に歯科治療のための全身麻酔-症例報告

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先天性腎性アミノ酸尿症の一つであるシスチン尿症は尿路結石とそれに続発する種々の腎障害に加え, 近年, 神経系疾患との合併が注目されてきた。今回我々はシスチン尿症に点頭癲癇と知能発育不全を併発した患者の, う歯治療のための全身麻酔の一例を経験した。患者は3才8ヶ月の男子で, う歯は多発性で, C_1〜C_2の状態にあった。既往歴として, 出生後仮死状態であったため5日間の酸素吸入療法をうけている。生後5ヶ月日に点頭癲癇の発作をおこし, 本学医学部小児科においてシスチン尿症の診断をうけた。以後抗癲癇薬のフェノバルビタールとエトサクシマイルの投与をうけている。現在は知能障害も併発している。家族歴にはとくに問題となるべきものは認められない。う歯処置のための全身麻酔は, 酸素・笑気・八口センのバランス麻酔で行なった。麻酔中および麻酔後特に異常はなく, 患者は翌朝無事に退院した。癲癇および知能障害を伴ったシスチン尿症の麻酔の管理上特に留意すべき点として, (1)麻酔前に原疾患・続発症の程度や知能障害の程度, および投与されている薬物の有無と種類を把握すること, (2)麻酔中から麻酔後にかけて脱水や電解質異常, 酸・塩基平衡の異常によるアシドーシスなどに留意し, 尿路結石の形成を予防すること, (3)癲癇の発作を予防し, 麻酔後回復期の鎮静をはかること, などが挙げられる。
1982-06-30

先天性アミノ酸代謝異常症(シスチン尿症)に癲癇と知能発育不全を伴った小児に歯科治療のための全身麻酔-症例報告

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