左側完全口唇口蓋裂1女子症例の長期咬合管理結果について

概要

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左側完全口唇口蓋裂1女子症例の, 骨移植を併用した長期咬合管理結果について報告する。口唇裂初回手術を生後5か月に, また, 口蓋裂初回手術を1歳10か月に行った。4歳から咬合管理を開始した。乳歯咬合期には前歯から左側側方歯にかけて反対咬合がみられた。7歳時にリンガルアーチを用いて, 前歯反対咬合を改善した。9歳2か月に, 顎裂への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術を行った後, 上顎左側中切歯と犬歯を隣接させて永久歯咬合を形成した。10歳5か月から14歳0か月まで, チンリトラクターを使用した。長期咬合管理の17歳時での結果は, 1)形成した永久歯咬合は安定している, 2)鼻翼に軽度の変形がみられるが, 正貌はほぼ左右対称である, 3)側貌は, 中顔面からオトガイにかけて著明に後退している, 4)軽度の顎機能異常がある, であった。口唇口蓋裂初回手術の上顎骨への手術侵襲が大きくはなく, また, 顎裂部への新鮮自家腸骨海綿骨細片移植術を適切な時期に行ったことが, 咬合の安定に寄与したと言える。しかし, チンリトラクターの使用が, 側貌の不調和と顎機能異常をもたらした可能性が考えられる。総合的には, 良好な長期咬合管理結果が得られた。
東北大学の論文