抜歯窩治癒不全で気付いた歯肉扁平上皮癌の二剖検例

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概要

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歯肉癌は, 病巣部を歯周炎・歯槽膿瘍などとあやまられ, しばしば抜歯・切開などの外科侵襲を受けている。鶴歯・動揺歯の抜歯後, 抜歯窩治癒不全を呈し, 歯肉扁平上皮癌に気付かれ, 1年以内に死亡した二剖検例を報告する。症例1 : 47歳男。主訴 : 〓齲歯。現病歴 : 右顎下部の無痛性腫脹。〓抜歯窩治癒不全。歯肉生検 : 高分化扁平上皮癌。全経過10ヵ月。剖検所見 : 右下顎半側離断術後。癌は顎関節, 頭蓋底に浸潤。気管傍リンパ節転移。悪液質と肺炎。症例2 : 70歳女。主訴 : 〓齲歯。現病歴 : 〓抜歯, 嚢胞摘出, 腐骨除去。抜歯窩治癒不全。歯肉生検 : 高分化扁平上皮癌。全経過8ヵ月。剖検所見 : 下顎骨連続離断術後。癌は左顔面皮下・顎関節・耳下腺・舌根・深頸部に浸潤。肺転移による無気肺。抜歯等の外科侵襲が腫瘍の増悪, 浸潤転移に及ぼす影響を考慮すると, 早期診断と経過観察の重要性が認識される。
東北大学の論文
1990-12-28

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