心身障害児(者)の入院下全身麻酔による歯科治療について

概要

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昭和54年4月から昭和59年12月までの5年9ケ月間に, 第二口腔外科, 小児歯科, 第二保存科を受診した心身障害児(者)のなかで, 通常の手段での治療を行なう事が困難な30例に対し全身麻酔下に歯科治療を行った。症例の選択にあたっては患者個々の協力度および特性, 治療内容を十分検討し, 処置時間1時間以上, 通院時間2時間以上を要する患者を便宜的に全例第二口腔外科に入院させた。主な障害は, 精神発達遅滞20例, 自閉症9例等であったが, 全例がさらに様々な障害を有していた。男女別では男性が多く, 24症例(80%)が乳歯列期から混合歯列期の患者であり, 地域別では仙台市内の者は8例であり, 他は通常の交通手段で2ないし3時間を要する遠来の者であった。平均麻酔時間は154分間, 平均処置時間は107分間, 一回あたりの平均処置歯数は11.9歯であり, 平均入院日数は5.3日間であった。歯科的障害者に関してWeyman(1971)は, 一般歯科医が特殊な問題を抱えた患者に対しての研修の機会が乏しい事によって不利益を生ずる患者と定義しているが, その多くは我々歯科医が研修の機会を得る事によって, 通常の手段にて歯科治療が可能になるものが多いと考えられる。
1985-08-10