仰臥位固定による生体への影響-自覚的訴えと苦痛の部位に関する研究-

概要

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同一体位による苦痛緩和のための効果的な援助方法を検討するには、苦痛の部位と血行動態との関連を明らかにすることが必要である。そこで同意の得られた看護学生9名を対象に、血流量や体圧を測定する部位の特定と、120分間の仰臥位固定により発現する苦痛の部位や程度および自覚的訴えの種類、また体温・脈拍・血圧・呼吸に及ぼす影響を明らかにするために実験を行った。その結果、実験開始前と差がみられた苦痛の部位は、後頭部、臀部、踵部および上腕であった。特に苦痛の強い部位は臀部であり、臀部は血流量や体圧を測定する際に特定される部位になるといえる。また仰臥位固定による苦痛に対する自覚的な訴えを意味内容があるもので分類した結果、「痛い」「重い」「圧迫感」などの31項目のカテゴリーになった。被験者の自覚的訴えは5分後に始まり、全員が何らかの訴えを表現したのは30分経過した時である。仰臥位持続中の体温・脈拍・血圧・呼吸を経時的に測定した結果については、いずれも有意差は認められなかった。バイタルサインズの経時的変化は、体位変換の時間を決める決定的条件にはなりにくく、理学所見の変化が出る前に体位変換する必要がある。苦痛の部位、自覚的訴えの種類および発現時間の研究結果は、患者により安楽な時間を提供する方法を検討する上で貴重な示唆を含んでいるといえる。
山形県立保健医療大学の論文
2002-03-01

仰臥位固定による生体への影響-自覚的訴えと苦痛の部位に関する研究-

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