植物培養細胞に対する mutagens の効果に関する研究 II : 菜豆カルスの放射線感受性(農学部門)

概要

論文の詳細を見る
菜豆(Phaseolus vulgaris L. cv. Kentucky Wonder)のカルス, 幼苗および種子に対するγ線照射の影響を比較した。照射カルスの生長は線量の増加に伴って有意な減少を示したが抑制程度は一様ではなく, 初期から生長が認められた2.5∿5KR, 生長遅延を示したが生長を続けた6.25∿8.75KRおよびほとんど生長が認められなかった10KR以上のほぼ3群に大別された。照射カルスの継代能力は12.5KR以上ではほとんど認められなかった。カルスは線量の増加に伴って褐色の度合およびもろさの程度が増加した。一方, 幼苗照射における生長抑制は, 1KRでは約50%で頂端分裂組織も正常であったが, 2KRでは顕著な抑制と頂端分裂組織の脱落が認められ, 5KR以上では枯死した。また, 種子照射においては, 10KRまでは約30%の抑制であったが, 20KR以上ではほとんど生長が認められなかった。以上の結果から, 生長抑制でみた菜豆のカルス, 幼苗および種子の放射線感受性には顕著な差異が認められた。すなわち, 幼苗が最も感受性で, 種子が抵抗性であり, カルスはほぼその中間であった。
京都府立大学の論文
1980-11-29