Coix 属の改良に関する育種学的研究 VII : Coix 属植物の X 線感受性および照射次代の雑種 F_2 の形質分離について(農学部門)

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Coix属植物の栽培種であるハトムギと野生種のジュズダマ, およびその雑種F_1さらに人為的に作出した4xハトムギと4xF_1の5植物の乾燥種子に対して5∿20krのX線を照射し, 照射当代におけるX線感受性と, さらに照射F_1の次代における形質の分離および形質間の連関性に対するX線の作用を調査した。1.照射当代の発芽率および生存率は, 照射線量の増加にともない低下するが, 概してF_1は抵抗性を示し, 異質および同質四倍体はこれにつぎ, ハトムギおよびジュズダマは供試植物中最も感受性を示した。出穂期は, 両四倍体は線量増加にともないかなり遅延し, ハトムギおよびジュズダマはやや出穂促進の傾向を示したがF_1は殆ど影響されない。草丈は一般に線量とともに低下するが, F_1は5∿15krの線量では殆ど影響されない。花粉稔性はF_1および4xF_1では15krまでは殆ど低下せず, 20krにおいてかなり低下した。他の3種は線量増加にともない減少したが, 同質四倍体は花粉稔性については感受性が大である。種子稔性は線量とともに一次函数的に低下したが, F_1および四倍体は, ハトムギ, ジュズダマに比してその傾向は著しくない。2. F_1 (X_1)個体中の極早生個体によりF_2を育成したが, 早生選抜の効果はなく, 概して晩生個体を多く分離した。草丈の頻度分布はやや連続的となり, 線量とともに細茎を叢生する矮生個体がかなり出現した。生体重は高線量区でかなり増大する傾向を示した。花粉および種子稔性はいずれも低下し, とくに高線量区には低稔性個体の出現が多い。草丈と諸形質間の相関は, 対照区に比較してかなり低く, とくに分蘗数, 生体重および稔性などと草丈との間において著しく, 概してX線照射は遺伝子の多面発現ないしは連鎖に大きく影響することが推察された。3.本実験結果より, 雑種F_1はX線に対して最も抵抗性を示し, 異質および同質四倍体はこれにつぎ, ハトムギおよびジュズダマは最も感受性を示すことが明らかになつた。またX線照射を利用して雑種後代の育成を行なう場合には, 変異個体の選抜はもとより, とくに有用形質間の連関性を把握しつつ行なうことが必要であると考える。
京都府立大学の論文
1962-09-01

Coix 属の改良に関する育種学的研究 VII : Coix 属植物の X 線感受性および照射次代の雑種 F_2 の形質分離について(農学部門)

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