葯培養によるトウモロコシの半数体植物の育成 I : カルスの形成と根の分化について(農学部門)

概要

論文の詳細を見る
トウモロコシの葯培養による半数体植物育成の可能性を検討するために, 1核期の花粉をふくむ葯を用いて, 変更Millerおよび変更Whiteの基本培地にauxinsならびにcytokininsを種々の割合に添加した培地に培養し, 培養初期における葯の形態的変化, カルス形成さらに器官分化の様相について追跡調査した。培養初期における葯形態の変化中, 変色枯死する葯はMiller培地で多く20∿40%である。逆に開裂葯はWhite培地で多く50∿64%に達し, 葯の肥大化はMiller培地上で10∿20%に達し, これらよりはいずれもカルス形成は認められない。培養後20日を経過した無変化の葯より, 後にカルス形成が認められる。カルス形成率は0.04%できわめて低い。カルスの形態は均一でなく, 肥大速度にも差異が認められるが概して緩慢である。カルスの移植培養によって根の分化が認められたが, 発根程度ならびにその速度は培養条件によって著しく影響されるが, 一般に伸長速度はおそい。半数性カルスならびに根の存在を確認することが出来ず, また茎葉分化が認められなかったが, 本実験の結果, トウモロコシのカルス形成ならびに根の分化は可能であり, 半数体植物育成の可能性を類推させた。
京都府立大学の論文
1972-10-15