Coix 属の改良に関する育種学的研究 (II) : コルヒチン処理によつて育成した四倍体 Coix について
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概要
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1. Coix属植物の倍数性育種の価値を検討する目的で, 1956年以来ハトムギ及びハトムギ×ジュズダマのF_1種子に対して, 0.1%コルヒチン溶液の芽生処理によつて同質及び異質四倍体植物を育成した。コルヒチン処理は, 両種共1日処理区が変異個体の最大出現区であり, 4xハトムギで14.6%, 4xF_1で15.0%を示した。2. 4xハトムギは, ハトムギに比べ生育がおそく, 成熟期において矮生態を示した。之に反して4xF_1はハトムギ, ジュズダマのいづれよりも生育大で, 伸長の各時期においてまさつていた。3.外部形態を測定した結果, 4xハトムギはハトムギに比して, 葉長, 葉巾, 葉厚, 稈径, 気孔の大きさ, 種子重, 種子の巾, 厚さ及び水分含量等においてすぐれ, 草丈, 分蘗数, 葉数, 葉面積, 生体重, 種子長等において劣つていた。之に反し4xF_1では, 水分含量を除いた測定全形質が大きい値を示した方の親より更に増量し, 特に草丈, 葉長, 葉巾, 葉厚, 稈径, 生体重及び種子重には有意差を認めた。4.花粉稔性は, ハトムギ及びジュズダマは共に良好で95%以上の値を示したが, 4xハトムギは83%, 4xF_1は79%前後に低下した。5.種実稔性もハトムギ及びジュズダマは共に90%前後の良好な結実率を示したが, 4xハトムギでは約20%, 4xF_1では約50%に低下した。猶自家受精では二倍体は50%前後に低下したが, 四倍体では著しく悪く1∿5%であつた。6.二年間の種子発芽試験の結果, 特に四倍体種子に発芽率の上昇が認められ, 1959年では4xハトムギが80%, 4xF_1では94%の極めて良好な値を示した。7.本実験の結果, Coix属の人為倍数体の育種学的利用は, ハトムギとジュズダマの異質四倍体の場合にはかなりの期待をもちうるものと思われる。即ち今後種子生産の向上, 形質の固定化等の操作を継続することにより, 将来のCoix属育種の素材として価値あるものと考える。
- 京都府立大学の論文
- 1959-09-01
著者
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