Coix 属の改良に関する育種学的研究 XI : 栽植密度および混植によって生起する競合効果(農学部門)
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概要
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Coix属植物は栽植条件の変化により, 形質の発現に変異を生ずることは, 従来より観察されているところである。したがって, ハトムギ, ジュズダマおよびF_5の育成優良系統に対して, 栽植距離を30cm, 60cmおよび90cmとして混植試験を行ない, 密度および混植による形質および収量の変異を追究した。1.生育期間中の草丈の伸長に関しては, 各供試植物とも密度効果が生育の比較的早い時期より現われ密植区ほど伸長速度が大きい。混植による競合は, ハトムギおよびジュズダマでは高稈個体による伸長促進が認められ, 密植区ほどその傾向は著しい。分けつ数の増加に対する密度効果は, 草丈に対するよりも顕著に現われ, 各供試植物とも生育の初期より密植区の分けつは抑制され, 疎植区の分けつ増加速度はきわめて大きい。また, 生育期間中に現われる混植の影響は, 供試植物の違いによって異なり, 一定の傾向を示さない。2.草丈, 分けつ数および乾物重の変異について分散分析を行なった結果, 両親植物の全形質とF_5系統の乾物重に, 密度区間に有意差が認められる。草丈は一般に密植とともに増大し, 分けつ数および乾物重は減少する。混植による競合生起の傾向は, 供試植物の違いとくに草丈の長短によって異なり, さらにこれは, 密度の大小によって著しく変化するため, 供試植物を通じて法則性を発見することはできないが, 概して両親植物の草丈は, 混植によって密植区で促進, 疎植区で抑制され, F_5系統はすべて混植によって抑制される傾向が認められる。分けつ数および乾物重においても, 各供試植物とも種々の変異が認められるが, 一定の傾向を示さない。概して両親植物は, 混植によって負, F_5系統は正の競合値を示す。3.各供試植物とも, 異なる密度区における草丈と, 個体の乾物重との間には負の相関が存在し, 分けつ数と乾物重との間には正の相関が認められるが, 密植区における個体数の増大によって, 単位面積当たりの総乾物収量は, 草丈の増大する密植区がすぐれ, 分けつ数の増加する疎植区がもっとも劣っている。4.以上の結果, 育成高稈系統の栽培にあたっては, かなり密植することによって, 生産性を向上させることができると考えられる。また, 異型個体と混植する場合には, 競合効果が植物の種類と栽植密度によって, かなり異なるので留意を要する。
- 京都府立大学の論文
- 1965-09-01
著者
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