Coix 属の改良に関する育種学的研究 (IV) : ハトムギ, ジユズダマ及びその雜種 F_1 植物の細胞遺伝学的研究(農学部門)

概要

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わが国に広く分布するCoix属のハトムギ(Coix Ma-yuen ROMAN.)とジユズダマ(C. Lacry ma-Jobi L.)の近縁関係を調べる目的で, 細胞遺伝学的方法によつて両植物の核型と, その雑種F_1植物における染色体の行動を観察した。ハトムギ及びジユズダマの根端細胞における体細胞染色体を, aceto carmineによるおしつぶし法によつて観察した。その結果, 両植物の核型を次の如く決定した。ハトムギ : K(2n)=20(2b)=2^<t.cs>A^m+2B^m+2C^m+2^cD^m+2^<cs>E^m+2F_1^m+2F_2^m+2F_3^m+(2G)^<st>+(2H)^<st>ジユズダマ : K(2n)=20(2b)=2^<t.cs>A^m+2B^m+2C^m+2^cD^m+2E^m+2F_1^m+2F_2^m+2F_3^m+(2G)^<st>+(2H)^<st>両植物の核型中第5染色体(E)において若干の形態変化が観察された。即ちハトムギでは第二次狭窄とみられるくびれが観察されたのに反し, ジユズダマでは全く発見されなかつた。E以外の染色体の形態及び大きさには顕著な差が認められず, 両核型には高い類似性が存在するものと思われる。花粉母細胞の減数分裂における染色体対合は, ハトムギ及びジユズダマでは夫々10IIを示したが, その雑種F_1においては観察総数の82%は10IIを示し, 他に9II+2Iが約14%, 4及び6Iも僅少ながら観察された。これらの現象は両植物の染色体間に部分相同性の存在を意味し, 之の主たる原因は核型のE染色体によるものであろう。以上の結果より, ハトムギ及びジユズダマの2種に関しては, 核学的に高い類似性を有するとみてよいが両植物のゲノムは完全に相同ではなく, 部分相同の染色体が存在すると考えられる。
京都府立大学の論文
1960-09-01

Coix 属の改良に関する育種学的研究 (IV) : ハトムギ, ジユズダマ及びその雜種 F_1 植物の細胞遺伝学的研究(農学部門)

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