加圧処理がα- ラクトアルブミンおよびβ- ラクトグロブリンの加熱ゲル形成に与える影響

概要

論文の詳細を見る
加圧処理(150MPa,0°C,10min)がα-ラクトアルブミン(α-La)およびβ-ラクトグロブリン(β-Lg)の加熱ゲル形成に与える影響を検討するため,pH7.0,タンパク質濃度50mg/g,塩濃度(0.05-0.7M KCl),加熱温度(90°/30min)の条件下で試験を行った.また,SH基ブロック剤であるN-Ethglmaleimide (NEM,1-10mM)添加の影響についても検討した.その結果,α-Laは加圧区,無加圧区ともに,0.05〜0.7M KClでゲルの形成は認められたが,ワークダン値は低く,形成されたゲルは脆弱なものであり,加圧処理による加熱ゲル形成の増強効果はほとんど認められなかった.一方,β-Lgでは加圧区,無加圧区ともに,0.05〜0.7M KClでゲル形成がみられ,特に低塩濃度の0•1〜0.2M KClで高いワークダン値を示し,加圧処理を行うことによりワークダン値は上昇し,より強固なゲルが形成され,顕著な加圧効果が認められた.β-Lgは加圧処理によりSH基量は全塩濃度域で増加したが,特に0〜0.2M KClの塩濃度域での増加が著しかった.また,疎水性度も全塩濃度域で増加していた.β-Lgの加熱ゲル形成はNEMの添加により加圧区,無加圧区ともに抑制された.
社団法人日本畜産学会の論文
1997-10-25