加圧処理がアクトミオシンと乳清タンパク質単離物(WPI)共存系の加熱ゲル形成に与える影響
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
加圧処理(150MPa,0°C,10min)がアクトミオシンと乳清タンパク質単離物(WPI: Whey Protein Isolates)共存系の加熱ゲル形成に与える影響を検討するため,pH(6.0-7.5),塩濃度(0.1-1.0M KCl),加熱温度(70-85°C)を変えて試験を行なった.また,SH基ブロック剤であるN-Ethylmaleimide (NEM,1-10mM)の添加の影響についても検討するとともに,SEM (Scanning Electron Microscope)によるゲル組織の観察も行なった.この結果,pH,塩濃度,加熱温度の影響では,0.2MのKCl濃度でpH6.0〜7.0の80〜85°C加熱において,無加圧のものでは軟らかいゲルが形成された.いっぽう,同じ条件で加圧処理を行なうことによりワークダン値は急激に上昇し,強固なゲルが形成され,顕著な加圧効果が認められた.ゲル形成へのSH基の影響は,SH基ブロック剤であるNEMを添加すると,共存系のゲル形成は抑制された.これによりアクトミオシンとWPI共存系のゲル形成にはSH基のSS置換反応が強く関与していることが明らかになった.また,SEMによるゲル構造の観察の結果,加圧処理によりアクトミオシンがWPIの凝集体を取り込んで網目構造を形成するために,強固なゲルが形成されていることが明らかになった.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
- 1995-07-25
著者
-
鈴木 敏郎
東京農業大学食品加工技術センター
-
鈴木 敏郎
東京農業大学応用生物科学部食品加工技術センター
-
鈴木 敏郎
東京農大
-
多田 耕太郎
富山県食品研究所
-
鈴木 敏郎
東京農業大学畜産学科
-
多田 耕太郎
東京農業大学畜産学科
関連論文
- ジャガイモおよび小麦デンプンのα-アミラーゼ分解性に及ぼす高圧処理の影響
- 低温貯蔵された男爵薯のデンプン糊化キネティックス
- 低温貯蔵した男爵薯のアミラーゼおよびインベルターゼ活性とその基質親和性
- 低温(0と10℃)貯蔵中のジャガイモの品質変化
- 加圧処理後のSH基量変化がアクトミオシンの加熱ゲル形成に与える影響
- 低温貯蔵された男爵芋の糖蓄積による凍結耐性発現メカニズム
- 低温貯蔵された男爵芋の糖蓄積による凍結耐性発現メカニズム
- 低温貯蔵中のジャガイモにおける糖類の蓄積と細胞膜の変性について
- 富山産かぶらずしの理化学特性と食味
- 屠殺前の温度処理が鶉腿筋の肉質に与える影響
- 高圧処理による低塩ソーセージの製造技術 (特集 食肉・水産加工の新技術)
- アクトミオシンと乳清タンパク質共存系の加熱ゲル形成能に与える加圧処理の影響
- 加圧処理が乳清タンパク質濃縮物の加熱ゲル形成に与える影響
- 加圧処理がアクトミオシンの加熱ゲル形成に与える影響
- 屠殺前の温度処理が鶉浅胸筋の肉質に与える影響
- 屠殺前の温度処理が鶉浅胸筋の解糖速度と筋肉組織に与える影響
- 加圧処理がアクトミオシンと乳清タンパク質濃縮物共存系の加熱ゲル形成に与える影響
- 加圧処理後のSH基量変化がアクトミオシンの加熱ゲル形成に与える影響
- 高圧処理を利用した大豆タンパク質添加ハイブリッドソーセージの製造について
- 高圧処理を利用した低塩濃度ポークソーセージの製造について
- 高圧処理がアクトミオシンと大豆11S混合系の加熱ゲル形成に与える影響
- 加圧処理がα- ラクトアルブミンおよびβ- ラクトグロブリンの加熱ゲル形成に与える影響
- 加圧処理がアクトミオシンと乳清タンパク質単離物(WPI)共存系の加熱ゲル形成に与える影響
- 加圧処理が乳清タンパク質単離物(WPI)の加熱ゲル形成に与える影響
- 二次元電気泳動によるエミュー卵白タンパク質の解析
- エミュー卵白の起泡性に対するオボムチンの影響
- 豚皮を用いた膨化食品の開発とその品質について
- オカラを添加したソーセージの品質について
- オカラ添加が冷凍ソーセージの品質に与える影響
- 東京農業大学農学部畜産学科の歩みと畜産物利用学研究室の研究課題
- オカラを添加したソーセージの品質について
- ブリ肝臓Carboxylesteraseの性状について〔ハマチ脂質分解酵素に関する研究-1-〕
- Changes of nitrite and nitrate contents in meat products without the addition of color former.
- ブリ幽門垂Carboxylesteraseの性状について〔ハマチ脂質分解酵素に関する研究-2-〕