東京とその周辺における夏季(6〜9月)日降水量の階級別出現特性の経年変化

概要

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本研究では,東京都心部における夏季の降水特性を,日降水量の階級別積算値に基づいて把握し,その経年変化傾向を提示する。114年間の夏季日降水量の階級別積算値に主成分分析を施した結果,大きい日降水量の階級(上位階級)と小さい日降水量の階級(下位階級)との間における降水量の逆傾向の変化成分が得られた。その得点時系列によると,1880年代から1940年代にかけて,段階的に上位(下位)階級の降水量による寄与が増加(減少)したが,1940年代以降,1960年頃を除き減少(増加)している。しかし,1980年頃から上位(下位)階級の降水量による寄与が増加(減少)に転じ,1980年前後における下位階級の日降水量が卓越する状態から,上位階級の日降水量による総降水量への寄与が大きい状態に変化している。1980年頃以降におけるこの傾向は,南関東において人口稠密地域で顕著であり,何らかの都市による影響が含まれている可能性が示唆される.しかし,南関東全域で同様の傾向を示し,最近20年間程度の傾向であることから,これは基本的により大きな空間スケールを有するdecadalスケールの変動の一部であると考えられる。
社団法人日本気象学会の論文
2003-01-31