Geotrichum candidumの酵母相および菌糸相細胞ならびに細胞壁組成の比較

概要

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Geotrichum candidumの酵母(Y)相と菌糸(M)相はそれぞれ1%グルコースーと0.5%グリセロール-基礎培地から調製し,菌体の細胞壁は音波破砕ならびに遠心操作によつて分画した。その結果,たん白,RNA,リン含量はY相がM相よりわずかに多いが,ヘキソサミン含量はM相が若干多かつた。全糖量,酸およびアルカリ可溶多糖と脂質についての量的有意差は二相間にほとんど見られないが,音波振量操作で離脱するガラクトースとマンノース量はM相がY相よりも大きいが,細胞壁の構成糖はグルコースに対してガラクトースとマンノースはいずれも5%程度(モル比)であつた。クロロホルムーメタノールで抽出したM相の細胞壁脂質は1:2:17:2:2:3:4:38:30:1の割合(モル比)でC14, C15, C16, C16:1, C17, C18, C18:1, C18:2ならびにC19:1などの脂肪酸を含有した。細胞壁たん白のアミノ酸組成を比較すると,Y相はM相よりもわずかにアスパラギン酸,グルタミン酸およびグリシン量多く,M相ではY相よりも若干アラニン量多かつた。両相間で細胞壁の化学組成における定性的な相違はなかつたが,これら成分の個々の含有量に若干の相違が認められた。
日本細菌学会の論文